花とフェティシズム

 花見をした。場所は新宿中央公園だった。都庁と桜が同時に見えるということで、ビルフェチを兼ねた花フェチに愛されてきた場所なのだろう。両者のフェティシズムを持たない僕にとっては、花見にしては混まず静かな場所だなぁという感想しかない。

 その日は、桜の咲き始めの冷たい雨の土曜日で、気温は10度に満たなかった。極寒の中でやる花見は、炎天下の浜辺でやるマグロの解体ショーのように過酷で残酷だった。ビールは体を冷やし、音楽は寒空の彼方に消えていった。
 それでも久々の顔ぶれに再開すると、なにか嬉しい。東京から出て行く人がいれば、入ってくる人がいる。そういう季節なのだろう。僕はすっかり根付いてしまった感じがあるが、本当は中でも外でもないような場所で、ただただ浮遊していたいと思っている。写真している時だけ唯一そんな状態なのかもしれない。
 週末は雨。もう散るのだろうかと、残された宴と桜たちを少しだけ心配する。頭はハゲ散らかしても、どうか桜はハゲ散らかさないでくれと。

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