音楽を奏でられないバンドのように

 飲みに行くと集合写真を撮る癖がある。それが気の置けないメンバーならば、なおさら撮ってしまう。撮られる側は、毎回面倒だなぁと思っているに違いないが、酔っている勢いも増して重い足をひとつふたつ動かしてもらう。
 横に並んでファインダーを覗くと、それはバンドのようだなと思う。同じメンバーで何度も撮っているはずなのに、何回並んでみてもこれはバンドではないかと思う。
 後日、出来上がった写真を眺めてみてもまだ、これは何かのバンドだったかな?と疑いをしばらく拭いさることができない。
 そうこれは音楽を奏でることができないバンドだ。カラオケでこそ大きな声を出してみんな懸命に歌うが、最初から解散の危機迫るほど音楽性もバラバラだし、何せ”全員がボーカル”というバンドとしては致命的な状況である。いつかライヴでもできたらと思うが、それが果たされることはないだろう。我々は、音楽を奏でることができないバンドなのだから。
 そんなバンド感を自覚しながら、今年はソロで何かひとつ奏でられないかと密かに目論んでいる。”シングルCD”のひとつやふたつ出しても誰も文句は言わないだろう。音楽を奏でられなければ、ファンもいない。そういう意味ではこの世で最も寛容なバンドなのだ。

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