便乗して、屋久島

Yakushima Nov 2020

10月の終わり、秩父の山を旅している時にユーチューバーの友人が「屋久島に行く」と言うものだから反射的に「僕も行こうかな」とつぶやいてしまった。誘われてもいないのに、他人の旅に便乗するというのは、正統派の冒険家からすればあってはならないことかもしれない。いやそもそも冒険家というのは他人の旅に便乗などするものだろうか?自ら目的やルートを設定して、未踏峰や新大陸、地図上に無い村々を目指しながら自然に対して果敢に挑む者であるはずだ。それを自ら目的地を決めるまでもなく、行動中にサラリと口にされた友人の旅に便乗しようとするなんて。

そ も そ も お前は冒険家なのか?

名乗る機会がある度に「最後の文系冒険家」と名乗っている。写真家、内田ユキオさんの自称「最後の文系写真家」から敬意を込めて半分は拝借し、もう半分は以前付き合っていた彼女に、変な登山帽をかぶっている時に「なにそれ、冒険家?」とバカにされたことに由来する。(今書いていて思い出した)そうだ、ここから自ら名乗るようになったんだと。バカにされながらもなんだ結構自分で気に入っているじゃないかと。

自分の写真のスタイルとして、旅が写真に先立っていて欲しいという願いもある。写真を目的として旅に出るのではなく、旅そのものを目的としてその合間でちょっと写真を撮れたらいいなという気持ちだ。だから機材は軽くしたいし、できることなら写真も撮りたくない。そういう意味ではもはや写真家ではないのかもしれない。旅人でいたいし、観光客でいたいのだ。

どこかに飛んで、長めのトレイルを歩き、帰ってくる。

ちょうどそんな旅がしてみたいと思っていた。

Tokyo
Tokyo Nov 2020

山々を繋いで数日かけて歩くような旅もいいが、港、街、宿、山と人の気配のある場所を点で行くのも楽しい。

屋久島はそのような類の冒険に、まさにうってつけの場所に思えた。

Yakushima 2020
Yakushima Nov 2020

羽田から鹿児島空港へ飛び、友人と合流しプロペラ機の揺れに備えるという口実で芋焼酎をいただく。これが神がかりな旨さだった。鹿児島空港で飲む、鹿児島芋焼酎。しかも4種類ほどあって「利右衛門」を選んだ。純度の高い氷と、九州は阿蘇山系の水で割ってくれた。まだ午前中だったが、多くのGOTOトラベラーが焼酎を楽しんでいた。

鹿児島から40分ほどで屋久島空港へ到着する。

レストランというより食堂という雰囲気の食事処がひとつだけしかない小さな空港。

バスまで時間があったので昼食をとった。

Yakushima air port
Yakushima Airport

今回友人とは別宿だった。僕が便乗したため、予約するタイミングで既に満室だったのだ。初日はそれぞれの滞在場所で翌日の準備をしつつ休んだ。

屋久島は九州最高峰の宮之浦岳を中心とした、円形に近い島である。九州の島では奄美大島についで2番目に大きく、周囲が130km、全体像を把握するには車で丸一日以上かかりそうだ。島の90%が森林で覆われ多くの自然が残されている。島の中心部はユネスコの世界遺産に登録されている。

Yakushima Island

主な渡航方法としては飛行機と船の二通りがあり、料金は3000円ほどの差しかない。島には船で渡りたい派だが、体力と時間の関係で今回は飛行機を選択した。

主な港は3つで、まずは降り立った屋久島空港。

そして空港を起点に北側に宮之浦港、南側に安房港がある。多くの旅行者にとってこの3つが旅の始点となるだろう。

Yakushima
Yakushima

僕は空港近くに滞在した。が、この付近ほんとになにもない。イタリアンレストランが1件と大きなドラッグストアがひとつだけ。ほんとうにこれだけなので、空港付近に滞在する場合は注意が必要である。しかもドラッグストアには、惣菜やおにぎりなど普通に見かけるものが全く無い。野菜・肉などの生鮮食品はある。酒も充分にある笑。エアビー等キッチン付きの宿で自炊滞在する分には問題はないかもしれないが、ホテルの場合は夕食の有無を確認しておかないと食に困ることになる。

翌日は3:50起き、空港4:24発のバスで屋久杉自然館へ向かう。世界遺産の森を歩き、縄文杉を見て、戻ってくる弾丸ルート。屋久杉自然館からは荒川登山口までの登山バスが出ている。登山バスに乗るにはあらかじめ登山バスチケットを入手しておく必要がある。これは島内の所定の場所、観光案内所や弁当屋で買える。

登山バスは本数が限られているので、どれだけ早く屋久杉自然館に到着できるかがポイントとなる。この日も多くの登山客で溢れていた。バスを2台ほどやりすごし、3台目でようやく乗車できた。待ち時間に宿で準備してもらった朝食をとる。縄文杉まで5時間、帰り5時間、合計10時間を歩くことになるためできるだけ出発は早いほうがいい。路線バスの始発で出発しても、結局屋久杉自然館からの登山バスで待機をくらうのでこれを考慮して計画を立てる必要がある。

トレイルヘッドに立ったのは6時過ぎ、いよいよスタートだ。最初は暗い中、トロッコ線路の上をひたすらゆく。ヘッドライトが役に立つ。ようやく空が明るくなってくる頃には、歩き始めて既に2時間ほど経っていた。トロッコ跡の木道の上をひたすら歩いて、森の中に入るまでに随分時間がかかる。感覚的に言えば全ルートの7割はトロッコ線路上を歩くイメージだ。変わらない風景と足元が、辛かった。

森に入り2時間ほど歩いて、縄文杉にたどり着いた。

教科書で昔見ていたあの木が目の前にある。周囲を手を繋いで囲むのに20人ほど必要な縄文杉は、実際に手を触れるほどは近づけない。(おそらく昔は近づくことができて、手を繋いで囲めたのだろう)木道と二箇所の展望台の上から、遠目に眺めることになる。それでも森と縄文杉には1800年の時間が詰まっているように思えた。

途中で昼食をとり、帰りもひたすら木道をゆく。

長時間の歩行に右膝が痛みだし、耐えれずアスピリンを飲む。

トロッコ線路がいつまでたっても終わらない。まるで瞑想のような気がしてくる。

同じ風景、同じリズムで刻まれる自分の足音。トロッコ瞑想。

あと3時間ある。あと1時間30分はある。

その時僕らは、トロッコになっていた。

何を運ぶでもなく、何を目指すでもなく、ただひたすらにいにしえの時の彼方に忘れられた森の路線をゆくトロッコだった。

これ以上続くと人間に戻れなくなる寸前で、ようやく始点のバス停が見えた。

ぎりぎりだった。非常に危なかった。もう少し深く入っていれば、廃されたトロッコとして屋久島の深い森の中から永遠に戻れなくなっていただろう。

コースタイム10時間のところを7時間38分で歩いてきた。

距離にして20.6km、標高差1049m、35000歩、消費カロリーは2800kcalだった。

途中すれ違ったガイド付きのツアー客のことを心配した。おそらく定年後であろう高齢の方々も多く歩いていたから。

宿に帰ろうにも良い時間のバスがない。足も限界だった。

乗り継ぎ含め1時間ほどバスを待って、ようやく宿にたどり着く。温泉に入り、安房港付近の寿司屋で合流し、寿司を食べ、焼酎を飲んだ。三岳の原酒。疲弊した体に染み渡った。

次の冒険で、と挨拶を交わし友人と別れた。

その日は疲れすぎて泥のように眠った。

帰りの飛行機で福岡にたどり着いた頃、屋久島の森が心にじんと残っている感じがした。

写真フルバージョンはノートにて連載中です。

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モーニングルーティン的な

breakfast

朝活している。

朝活という言葉はあまり好きではない。

就活、婚活、パパ活、麺活、終活、朝活。

なんでもかんでも”活”つければ良いというものでもないだろうに。

モーニングルーティンもどうかと思うが、一周回って面白い。

ユーチューブから流行り出した言葉だと思うが、中には「誕生日の日のモーニングルーティン」なんて動画もあったりして、いや、それもはやルーティンじゃないだろうと思わずツッコミたくなる。

突っ込みたくなる時点で、それは成立しているし、ある地点に到達しているのだろうと思う。

中身がたとえどんなにつまらなくても、タイトル勝ちというか構造勝ち、的な。

とにかく、朝が好きだ。

最も頭が冴えている気がする。

がっつり撮影していた時は完全なる朝型だった。

4時起きで、5時出発の、6時現地集合。セッティングして7時シュート。

冬の寒い日なんかは辛かったが、青梅街道を旧型デミオでごきげんな音楽をかけながら走らせていると、いつの間にか朝を楽しんでいる自分がいた。

最近は秋から冬にかけての、あの凛とした空気を感じたくて早起きしているところはある。

6時に起きて、簡単なヨガと瞑想を30分くらい。

本当は1時間くらいやりたい。

そして「片岡鶴太郎か!」と突っ込まれたい。

片岡鶴太郎は朝から自分を整えるために時間を使いすぎて、ようやく一日が始まったと思う頃には昼過ぎて一日が終わっているらしい。

6時に起きるためには、前夜早く寝る必要がある。

朝にハマりだすと、もっともっと朝を欲しくなってそれはエスカレートしていく。

もう、9時半には寝て、5時から活動したいと思う。

しかし夜には夜の事情があり、仕事が僕をそうさせない。

ロックスターという映画の中に「ツアー中は12時前には寝る。それがロックスターだ」というセリフがあって、いつもそれを思い出す。

早く寝ろ、お前はロックスターだろ、的な。

ヨガと瞑想を終えたら、朝食をとりながらブログを書いたり、ノートを書いたり、タスクを書いたりする。書かない時は、直近の写真の整理やレタッチをしたりする。それでもやることが無い時は、読書をしたり他人のブログやメルマガを読んだりする。

最近の朝食は果物とプロテインと野菜ジュース、気分によってオートミールも食べる。

段階的に、コーヒーとナッツも入れる。

今日はたまたまりんごとバナナの両方があったので、両方を食べた。

とにかく、正座して朝食を摂るのではなく、このように書きながら何かを口にいれたりするのが朝っぽいと思っている。

おっと、朝食の前にやっていることがもうひとつあった。

それは体重を測ること。

最近山に登ったり、ランの強度を少し上げていることもあり、体重計を買ってみた。

これが体重以外に体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪、水分量、筋肉量なども測れるすぐれもので面白い。

iPhoneのアプリと連動して、日々記録することで変化に注意している。

人間の体というものは毎日わずかならも変化しているだな。

これがバイオリズムか、と。

駄文を書き連ねる仕事を終えたら、あとは次の冒険のリサーチをするか、怠惰のポーズを決めるかして一日が過ぎていく。

早朝から活動すると、生産性も高まり人生を自発的に生きている気持ちがするのでおすすめです。

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駐車場とモスキート

Parking, Shibuya 2019
Parking, Shibuya 2019

昨夜はうまく眠れなかった。

今日がアメリカの大統領選だからだろうか。

いや、違う。別に僕は出馬するわけでもない。

興味はあるが、緊張はない。

眠れなかった理由は今のところ2つ思い当たる。

駐車場とモスキートだ。

夜中の2時くらいだろうか。手がかゆいことに気がついた。すぐに「やられたな」と思った。左手ということはわかるが、左手のどこかはわからなかった。全体に痒みが回っているようで、全体がかゆい。

仕方なく部屋の灯りをつけてみたら、左手の薬指と小指の間の手の甲側が、赤く膨らんでいた。なぜそこを?ため息をついてまたベッドに潜り込んだ。

しばらくして右足の指先がかゆいことに気がついた。2分も経っていないだろう。僕は村上春樹流に「やれやれ」と思った。やれやれと思うからには、春樹流が1番だ。だが人生の中でやれやれとはあまり思いたくないものである。

仕方なく再び灯りをつけて観察すると、右足の小指付近、甲側をやられていた。

手も足もやられたからには、かゆみ止めを塗らずにはいられない。山用のエマージェンシーセットからかゆみ止めを取り出して塗った。

これ以上刺されることは避けたいので、本人を駆除することにした。あたりを見渡しても見当たらない。掛け布団を何度か捲し上げたその時、足元に一匹の大きなモスキートが横たわって死んでいた。

おそらく足に感覚があったとき、強く動かした拍子に気絶したのだろう。あるいはすでに寿命だったのかもしれない。

そのモスキートを見た時、ジョー・バイデン氏だと思った。

とても失礼極まりないと思う。だが、ぼんやり大統領選のことが頭にあって、真夜中2時の寝ぼけた頭でその倒れたモスキートに遭遇した時、ジョー・バイデン氏のことを思ったのだ。それは明らかにトランプではなかった。そしてモスキートであったが、すでにモスキートでもなかった。

渋谷に住んで4年近くが経とうとしているが、この辺りはモスキートが多い気がする。代々木公園が近いということが関係しているのかはわからない。別に公園のすぐ側に家があるわけでもない。それもこの季節で、最上階付近の部屋だ。今まで暮らしてきた東京都内の他の場所に比べて、明らかにモスキートが多い。

眠りを妨げる要因を排除できたので、これで安らかに眠れると思った。

それもつかの間、近くの駐車場で誰かを呼ぶ声がする。「吉田さーん」か「田上さーん」だったと思う。それが誰であるか、名前はどうでもいい。だがとにかく周辺のマンションに響き渡るように、誰かの名前を呼んでいるのだ。僕はまたやれやれと思った。その”やれやれ”は春樹流などではなく、僕自身の中から発せられる本物の「やれやれ」だった。このようにしてやれやれは出るのだな、と感心さえした。

誰かわからない人の名前を呼ぶ声は2分ほど続いて、消えた。ご存知の通り、真夜中の2分というのは永遠とも思えるような長さである。真夜中において時間の流れは、速すぎるか、遅すぎるかのどちらかで、秋の深まるこの季節ではどちらかといえば後者である場合が多い。

渋谷に住んで4年近くが経とうとしているが、この辺りは駐車場が溢れている。都心部でありながら窮屈な土地に多くの人間が暮らしてるものだから、家が密集している。その家々の間を紡ぐものと言えば、なんの面白みも無い道路と、駐車場くらいである。

田舎であれば、忘れらた土地や自然があってそれらの空間がうまく街に余白を作り出しているが、東京都心部にはそれがない。よって、酔っぱらいや頭のイカれたベイベーたちが一息つく場所と言えば、駐車場くらいしか無いのである。以前も近くの駐車場で、酔っぱらい同士の殴り合いに遭遇したことがある。初心者の小さな衝突事故も、幼児の車内置き忘れも、殴り合いや喧嘩や恋の駆け引きも、日本での事件や問題はだいたい駐車場で起きているのではないかとさえ思う。

駐車場も静かになり、モスキートもいなくなり、少し眠ることができた。

さて今日は大統領選だなと、書いていて思う。

政治的事柄にはこのような公の文章でなるべく触れないようにしてきた。初めて会った人に、野球と政治の話をしないように。

自分自身の政治への感心が薄いということもある。

だが今回の選挙は、世界経済にも大きな影響を及ぼす。そして政治さえもエンターテイメントに仕立て上げる米国では、あらゆる乱闘を懸念して緊張が高まっている。連日のニュースの通り。

ジョー・バイデン氏が選出されると、コロナ規制が強まるという見方があり、本当はジョーに投票したいのに、規制によりビジネスや収入が妨げられることを懸念して、トランプに入れるという人々が一定層いると予測している。

米国圏の方々は充分注意して、無事であることを願う。

米国圏外の方々は、株や為替を持っている場合ボジションを抜いておくこと。

もう手遅れかもしれないですが、これだけは言っておきます。

それではまた。

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