この世界には美味しいものが沢山ある。
美味しいものが沢山あって、会いたい人が沢山いるから、毎日飲み歩くことになる。
そういう生活が続くと、どうもカラダの調子が良くないと感じることがある。
そんな時には、丹精込めて、味噌汁を作ることを薦める。
この世界に一人暮らしで自炊を始めた女子がいるとする。あるいは男子でも構わない。
彼/彼女たちはひとつもレシピを持っていない。
新しい一人暮らしは、始まったばかりなのだ。
クッキング教室に通う? レシピ本を買う? クックバッドで流行りのレシピを探す?
どれも間違っている。
そんな時には、丹精込めて、一杯の味噌汁を作ることを薦める。
具材はなんだっていい。
出汁と、野菜と、豆腐と味噌を少々。今回はネギと大根を入れた。
温かい味噌汁に、玄米と、納豆と、お漬物かあるいはキムチ。
考えてみれば全て発酵食品だ。
腸を調子よくすると、カラダの全てにエネルギーが湧いてくる。
ポイントは、美味しい出汁をとることと、味噌をほんの少しだけ入れること。
マティーニというカクテルの王様と称されるものがある。
材料は、ジンと、ドライベルモットとオリーブだけ。しかしそのバランスと、冷え方で、作る人の数だけ味が変わる大変デリケートなもの。
味噌汁において、出汁をジンとするならば、味噌はドライベルモットに当たる。
ある有名なバーテンダーは、ベルモットを入れずに、ボトルをグラスにかざすだけでマティーニを作る。それはほぼジンなのだが、ベルモットの残像だけが残り、ひとつの個性的なマティーニとなる。
味噌はそのように使いたい。
流石に、出汁の前にかざすだけでは、酔ってもいないので、味噌汁は完成しない。
だけれど、ごく控えめに、そういう気持ちで味噌を溶かし入れてみる。
心から元気になっていく。
これだけの自炊で、生活が上手く回っていく。
生活が上手く回れば、人生も回っていく。
味噌汁を作ることから、全ては始まる。
<今回使った出汁>
これプラス、昆布をちぎって入れて具材にします。出汁はどれでも美味しいのですが、初めて使ってみたこれとても美味しいです。甘み、深み、バランス。少し味付けされているので、味噌はほとんど必要ない。
ミニマリストの大原扁理さんも、食生活において味噌汁を大切にしています。粗食を基本にする生き方。新たな豊かさのかたちがここにあります。