何をもってオーセンティックとするかはいくつかの基準があるのだろうけれど、オーセンティックなバーが好きだ。マスターひとりでやっていて、テーブル席はあっても1つくらい、基本はカウンターだけの小さな店。
従業員はマスターの他に誰もいなくて、マスターが店そのものを体現していて、店がマスターでありマスターが店であるような店。面白いことにそのような店はクセ強めなところもあれば、全く癖のない、ネガティブに言えば無愛想で全く客に無関心の店もある。
不思議なことに今年はオーセンティックなバーとの出会いが多かった気がする。考えてみれば、とにかくコロナで大箱の飲み屋は開いていないので、そういう小さなオーセンティックバーと出会うのは必然だったのだろう。幸いなことに僕が住んでいる渋谷近辺はそういう店が多い。
先日はよく行くバーのマスターと一緒にはじめて別の店に飲みに行った。貴重な休みをお前のためにとかなんとか言われながらも、酔っ払いながら釣りは要らないからと残った現金を全て置いて、先に帰って行った。
そのマスターが「僕にとって肝臓は、従業員みたいなもの。働けと言ってればちゃんと働いてくれる」と言ったのが頭に残った。毎日飲むのは辛くないですか?と、ベタな質問をしてしまったと、あとから少し後悔した。