メンズ脱毛の無意味さと意味

きっと脱毛そのものに大きな意味はない。脱毛で人生が大きく変わったという話しも聞かない。中にはいるのかもしれないが。メンズでヒゲ脱毛を行うと毎朝の時短になるなんて言われているけれどそんなヒゲを剃る時間くらい、と正直思ってしまう。結局時間が余るとぼーっとしたりネトフリ見たりユーチューブ見たりするのだから、それで生産性が上がるなんて考えるのはちょっと甘いんじゃないだろうか。ハイデッガーくらい時間に対する意識が高くて分刻みでスケジュールが入っているオーナー社長でもない限り。だがそんなハイデッガーもオーナー社長も今まで見たことない。

ひげ剃りは退屈から逃れるものであり、何か気合を入れる時のシグナルとして働く。プレゼンとか、女の子とのデートとか。気合を入れるのが苦手な人はむしろヒゲがあったほうがいいような気がする。ここぞという時は髭を剃って気合を入れてプレゼンやデートを成功させようよ。

実は自分の毛を気にするのは自分だけであり、他人にとってはほとんどどうでも良いことだ。脱毛そのものよりも脱毛をしたという経験のほうが、人生に及ぼす影響は大きいと思っている。脱毛というコンテクストの共有。言語というには大袈裟かもしれないが、長編ドラマシリーズを1作品見てるか見てないかくらいの違いは出てくる。たぶんバンジージャンプをやったことがあるか、よりも情報密度は高い。特に女性はなにかしらの脱毛ストーリーを持っていることが多いもので、共通の話題がなくても脱毛話があれば商談や会食を乗り切れるようになる。ただし初対面で「俺VIO脱毛やってるんですよ」は間違いなくマズい。トラブルを招く危険性があるので避けたほうがいい。

医療かサロンか、光かレーザーかニードルか、部位と痛みと施術料金について、体毛の歴史と各国の脱毛状況そして、毛周期。商談前のアイスブレイクで話すには時間が足りなそうだ。そして改めて、やはり商談時にはふさわしくない話題かもしれない。うん。

脱毛をきっかけに、友人が増えていく。ゴルフ仲間でもなく釣り仲間でもなく麻雀仲間でもなく、脱毛仲間。遊ぶのではなくただ真剣に脱毛について語り合う。不思議な世界になったものだ。でもこの世の中にはいろんな種類の仲間がいてもいい気がしている。

「ねえあなた、今日は誰と出かけるの」
「脱毛仲間さ」
「あら脱毛仲間ね。いってらっしゃい。紫外線には気をつけて」

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