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1/3の純情な感情に対する複雑な感情

どのような経緯か忘れたけれど、1/3の純情な感情がiTunesから流れてきた。

1997年にSIAM SHADEというバンドが発表した楽曲だ。近い世代なら多くが知っている有名曲だと思う。おそらく当時はアニソンからjPOPをブーストさせる音楽業界のビジネス戦略が流行っていて、これもアニメ”るろうに剣心”のオープニングかエンディングだった。

イントロが気持ちパワフルで、ヴォーカルが入ってきてみたらSIAM SHADEではなかった。

どこかで聞いたことがあるし、ハードロック系の人だということはわかったが、誰かは特定できなかった。

そこに名前があったのは、Warrant というバンドのJani Laneだった。

My Heart ~ の伸びが異常に良い。

Jani Laneがアル中で死んだことは知っていたが、調べて見るとこのカバー曲を歌った後だったということが判明した。

LAメタルのヴォーカルが、極東日本のしかも90年代のバンドの楽曲を英語で真剣に歌っている姿が浮かび、熱いものを感じ、なんとも言えない気持ちになった。

SIAM SHADEの解散後に15周年を迎えるということで作成されたトリビュート・アルバム。こんなアルバムが出ていたとは知らなかった。いつしか音楽を追うことも辞めていたから。

企画は、オジーやエアロスミスなど世界的なバンドをプロデュースしているマーティフレデリクセン。日本のアーティストとのクリエイティブワークを模索中に、SIAM SHADEを発見したらしい。よく解散した90年代のバンドを、それもSIAM SHADEを選んだなと思ったけれど、アルバムを一通り聴いて納得した。参加アーティストも、セバスチャン・バックにエリック・マーティン、マイク・ヴェセーラにジョージ・リンチ、リッチー・コッツェンと僕が13歳頃に聴いていたど真ん中の超王道たち。

メンツが良いということもあったが、SIAM SHADEが純情なハードロックだということが改めて浮き彫りとなったのだ。というか1/3の純情な感情以外、SIAM SHADEの楽曲をあまり知らない。

なんだか懐かしくなって、そういえばエリック・マーティンがJpopをカバーしているアルバムがあったなと思い、掘り出してみた。

それが2008年に発表したMR.VOCALISTで、一青窈やELT、ミーシャにドリカムと、女性ボーカル縛りで、日本の楽曲を英語でカバーしているアルバムだ。随分異色だが、Mr.Bigのフロントマンとして日本ととても親和性の高いエリックが歌うとあまり違和感がない。キーはエリックに合うように変更されている。セレクトにはこれもまた90年代感が漂う。

すると関連アルバムに、MR. ROCK VOCALISTが出てきた。

中身を見ると、グレイにラルクにB’z、そしてSIAM SHADEの1/3の純情な感情!

またもここで1/3の純情な感情に出会い、複雑な感情に支配される。

前作のJpopカバーが好評だったのか、エリック・マーティンは2012年に、メンズのロック楽曲縛りのJpopカバーアルバムを発表していたのだ。

演奏もマーティーフリードマンやリッチー・コッツェンと元バンドメンバーが参加していて、微笑ましくも安定して聴かせる。

しばらく聴いていると、英語じゃなくていいな。と感じた。

いや正確には、これらは英語であってはいけないなと。

ラルクアンシエルのHONEYをとってみれば

When I was just a little boy~
I’d stared at your picture everyday
And now I think of how years have come and gone
And your pretty photograph is still hanging on my wall

これを最初に聞けばハマってはいるんだけど、やっぱりWhen I was just a little boyではないんだよなぁと。

ずっと眺めていた
遠く幼い頃から
今も色褪せたその景色は
真っ白な壁に飾ってある

改めて、日本語の美しさを感じたのでした。

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