冷たいマフィンとコーヒー

九州では雪が降った。北陸あたりでは当たり前の光景かもしれないが、12月の雪というのは九州では珍しい。朝、僕らは駅前のカフェでコーヒーを飲んだ。コーヒーよりも先に運ばれてきたマフィンは冷たかった。冷たかったけれど朝から何も食べていなかったので、何か口に入れるにはそれで十分だった。コーヒーがぬるくなかったのが幸いで、いつものネスカフェとは違う香り高きそれに、旅がまだ続いていてこれから何かが始まることを思った。田舎の方は雪が降るとすぐに道路が凍る。山道やカーブを走る時は道路が白くなくても十分に気をつけなければならない。車生活時代、宮崎から熊本と福岡を経由して長崎までFR車で走った時、雪の降る山道でスリップして死にかけたことがある。通る車が少なかったのが幸い、衝突は避けられた。しかし走り続けられないくらい雪が降ってきて、通りかかった車に牽引してもらいながら山道を無事に抜けた。あの時の自分の情けなさときたら。窓の外の雪を見ながらそのようなことを思い出していた。