写真に関わる全事象の享楽

人間の視覚とは異なる写りをすることに写真の面白さはあると思う。もちろん、目の前に現れたものに対する驚きや、被写体そのものの面白さもそれに加わる。むしろ後者の方が一般的な用法で、視覚と異なる写りの快感を求めることは一握りの撮影者、日記を毎日書いていてネタがなくなった人か、あるいはレンズマニアくらいか。でもそれもどちらでもいい。カメラとそれに関わる事象を全て享楽していくこと。レンズのボケやピントの合っていない写真は、目の悪い人がメガネをかけずに被写体を見た時とも何か異なる。写真に対する認識が画像と絵画の中間に位置するフィルターとして働くからかもしれない。おそらくそのように脳内での齟齬が起きている。暑い日だった。昼過ぎの斜光が容赦なく顔を照らして、調光レンズを黒くし、デニムを蒸らした。そのようにして8月が終わった。