フィルムとデジタルとボケ

夜に撮る写真は絞りを稼げないのでもどかしい。ボケありきのふんわりポトレ系写真は良くない。しかしそれもフィルム時代の古い考え方なのかもしれない。僕らの時はまだマシで、ISO400のコダックを使って開放で撮ってもレンズによってはなかなか切れる描写をした。最初に写真を教わった事務所はドキュメンタリー系の仕事を抱えていたので、APS-CセンサーでもF8以上絞ることを基本としていた。特に人物撮影で望遠側を使う時や、人物が2人以上フレームに入る時。光量が足りない時はクリップオンストロボまで付けて、昼でも日中シンクロさせて撮った。もちろん絞りは8以上だ。土門拳的であり、テリーリチャードソン的であり、ブルースギルデン風だった。今は完全デジタルになり、開放描写でも解像感を保持するレンズとセンサーが増えた。ライカレンズは遠い過去の設計でありながら、デジタルで使っても開放の切れ方を維持するところがやや特異だが、どこの単焦点も設計や製造技術がデジタルに合わせて作られるようになったのできちんとピントさえ合っていれば十分開放で使える。デジタルになりかけの頃はプリントしないとわからないとか、プリント前提でカメラの話をしていたように思う。しかし今は、デジタルで撮影してデジタルで納品してデジタルのまま媒体に掲出される仕事がほとんどだ。そのような時代に、プリントの意味が新しい仕方で問われているのではないかと思う。朝4キロを走って、昼はずっとテクノを聴いて、夜少し写真を撮った。車庫に入るポルシェのリアランプが赤く光っているのを見つけたがフォーカスが遅れて失敗した。シャッタースピードは1/30、だからPCに取り込んだ後で画面をズミクロン50mmの最短距離でさらに複写した。写真はますますボケて、頭もボケたような気がした。