来るべき新しい朝のために

 

マイルズデイヴィスの伝記の中に「毎日新しいことが起きるから、朝起きてベッドを抜けて出かけることが楽しみでしょうがないんだ」という言葉がある。多くの苦難を乗り越えてきて、結構晩年につぶやく言葉なんだけれど、僕はこの部分が結構好きだ。最初に読んだ時には、その好奇心というか、老体なのに精神の若さにとても感動した。

今朝はどことなくそんな気分だった。部屋の中に差す紅い朝日が、壁にビルか窓枠の形をつくっていたものだから、しばらく眺めていたらそのようなマイルズの言葉が浮かんできた。時計を見るとまだ6時前だった。紅い朝日がオレンジに変わり行く中で、部屋の反対側から写真を一枚撮った。

空の写真を明け方に撮ることは、僕をいつでも写真を初めた頃に連れ戻してくれる。夜明け前から移動するような仕事が多かった中で、車の中から登っていく朝日を横に見ては、途中で駐車して、わざわざ写真を撮った。朝5時過ぎに出社して、勤めていた写真事務所の屋上から朝日を撮ることもあった。その時はコンタックスT2という小さなカメラにコダックのフィルムや、フジのリバーサルを詰めていた。

それが今、シグマのDPに変わっただけで、気分はその時とあまり変わらない事に気づく。それはシグマのフォビオンというセンサーが、三重層型で、フィルムと同じ原理で作られているということもあるのかもしれない。最近はとにかく、デジタルで風景を撮るならこのカメラしか無いと思うようになった。多くのカメラがベイヤー配列というセンサーで作られていて、それは人間の曖昧な視覚の隙間をすり抜けるような構造になっている。単純に言えないが、擬似的に写真なのだ。フジのデジタル(X-Trans CMOS)はこのベイヤー配列の変化形で、ランダムなRGB配置により、少しフィルムに近い表現を可能にしている。その中でやはりフォビオンは圧倒的な存在感を見せている。

カメラの話はどうでもいい。

とにかく、鳥の鳴く静かなこの朝の雰囲気、それを忘れていた気がした。改めて写真を見て、もう冬の光では無いことに気がついた。コントラストは随分弱まり、湿気混じりの霞がかった空気がそこにある。

春がきたのだ。

写真を通してしか、そういう事を認知出来ない弱くなった人間だと自覚もするが、写真があることでその事実を知れるだけ幸せであると今は思う。

部屋の光がオレンジから白へと変わりつつある。

今日は気温も上がりそうだ。

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