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Interview

「はじめましててん」by foxco212

どこかコミカルでチャーミング、鮮やかながらも優しい色は一度目にしたら忘れない。小さな絵葉書から、ファッション誌、街頭のサイン広告まで。デビューして間もないながら、様々な分野で仕事を手がける、イラストレーター渡邉香織(foxco212)の個展「はじめましててん」が Neighborhood & Coffee by Starbucks池尻2丁目店にて開催中だ。絵そのままにチャーミングな本人に、YUKIが話を聞いた。

KAORI WATANABE [foxco212] / 渡邉香織
– June 2017

INTERVIEW BY YUKI
PORTRAITS BY TOKIMARU TANAKA

YUKI – まずはじめに。なぜ絵を描き始めたの?
KAORI – イラストを描いたのが、パリにいるときで。芸術学部のある大学に留学していて。デッサンとかやっていたんだけど、それらにはすごくルールがある。その時にイラストを描き始めたらすごく楽しくて、自由だなと思って。それから描いてる。

YUKI – 何年前ですか?
KAORI – 2014年だから、3年前くらい?

YUKI – パリに暮らしていたことが、今の作品に生きてると思う?
KAORI – 確かにパリの生活は今の絵に関係しているかもしれない。なんかとっても自由なの。学校の絵というのは、それは手法を習うところだから制限があるのはしょうがないんだけど、でも町とか、人の考え方は凄く自由。

YUKI – パリの?
KAORI – そうそう。すごい極端な話で言うと、多分こういう場所に裸の絵とか飾ったら嫌がられるけど、向こうではそんなことが全然なかったり。好きなものを好きに描いて、それがアウトローな人にも正統派な人にも結構受け入れられるようなところがあって。なんかそうしたら好きなこと描いていいんだなって思えて。

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YUKI – 今回の個展の準備は大変だった?
KAORI – 大変だった。今回は一年間描き溜めた仕事以外のオリジナル作品を、分類して貼っていった。ひたすら。

YUKI – 点数も多いですね。全て原画ですか?
KAORI – そうです。

YUKI -すごいです。なぜこのタイミングでやろうと思ったの?
KAORI – 絵がたくさん溜まってきたから、素直にそれらの発表の場所が欲しかったんです。

YUKI – 始めた頃と描き方は変わっていないの?
KAORI – 描き方は一緒。アナログ描いて、風景と一緒に写真にしたり、そのままスキャンしたり。

YUKI – じゃあ、パッドとか使っていないんだ?
KAORI – うん使ってない。

YUKI – その方が描きやすいんですか?
KAORI – 最近パッドでやらなきゃいけない仕事ができて、買ったんだけど。やはりなんかその、筆圧とか、実際に見るのとなぞるのって違うから。だから結局手書きの方が好き。

YUKI – 私もカメラとか、デジタルは嫌いで。フィルムしかできないのに似ている感じかも。
KAORI – うん。確かに。私ユキちゃんの写真すごく好き。撮られているのも。

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YUKI – ありがとう!ツールは何を使っているの?
KAORI – 水彩のペンと普通のペンと。あとコピックとか、漫画描く用のやつとか、他にも色鉛筆使ったりとか。滲む感じが好きだから、サインペンとか。色々やってる。

YUKI – どこからインスピレーションを得ているの。結構さらさらっと描いてる感じがする。
KAORI – 歌とか聞いて、わーっと描きたくなる時もあるけど、実際新しいモチーフを描けるなと思うのは、旅行とか展示を見たりとか、そういう時の方が多い気がする。

YUKI – 新たな刺激がいいんだね。
KAORI – そうそう。そういう気がする。

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YUKI – 単体で書いているものもあるけど、コラージュとかレイアウトしてるのもあるよね。
KAORI – そう。あれは見たものとか、例えばピカソの手書きのメモみたいなのなどを新聞紙の上に描いたもの。それかわいいやってみたいと思って、ちょっと入れたりする。自分の絵にはするけども、他の手法を取り入れたりしている。

YUKI – コラージュ風のものは、日本だとあまり見ないと思う。
KAORI – それは嬉しい。私の色にしていきます。笑

YUKI – なんでだろう。自分でも暮らしてみて、なんか日本のごちゃごちゃに比べて、ヨーロッパのごちゃごちゃはまた違うと感じていて。
KAORI – 確かに。なんだろう。何が違うんだろう。

YUKI – 意識的にそれを使っているのかはわからないけど。
KAORI – まあ確かに。でも旅をして、1日のことを全部一枚のちっちゃな紙にぎゅっとまとめようとすると、やはりコラージュにならざるをえないんだよね。

YUKI – そういうことか!
KAORI – なんかあれ見たし、そういえばここにも入れたい、ここに重ねちゃおうとか。

YUKI – 旅があって、その上での日記的な風景ですね。
KAORI – 確かに。今話していて思った。

YUKI – 旅や見たものからインスピレーションを得て、かおちゃんの頭の中でレイアウトされるんだ。
KAORI – そうそう。すごい!今まとめてもらうと凄く大袈裟に聞こえるけど笑




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YUKI – いや、すごい。私は抽象画しか書かなくて、水彩かアクリルのみを使うような。だからこういう線画はどういう風に描かれているんだろうと思っていたから。
KAORI – でも、綺麗な線一本、とか、綺麗な線を描くというのは、ずーっと試行錯誤している。このストロークじゃないなぁとか、何枚も描いていることが多い。

YUKI – そうなんだ!
KAORI – うん。単純な線で、どれくらい綺麗に描けるかとか、気にする。

YUKI – 線が好きなの?
KAORI – 線好き。

YUKI – 私、線を描くのが苦手で。
KAORI – でもなんか雰囲気あるよね。

YUKI – 自分自身の人間としての線がまだあまり見えないというのもあるんだけど笑
KAORI – 解釈のしようがいっぱいあるよね。その人がものを見る時の問いのような感じもするし。

YUKI – うん、だからかおちゃんは自分がしっかりしているんだと思う。
KAORI – 笑

YUKI – 私、前回のプロジェクトの時も思っていたんですけど、私と他のメンバーは焦っていたのに、勝手に追い込まれていた感じがしていて。その時かおりちゃんがシール作ってきてくれて。短い時間でそういうのを作ってきたーと思って。私のチームはそれができなかったから。あー大人だな、すごいなって。その時思ってた。
KAORI – それは実はプロジェクトが二回目だったから。一回目はてんやわんやで、どういう関わり方したらいいのかわかんなかったし。結構ボロボロで。それもあったと思う。一回目は本当に、てんやわんや。笑

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YUKI – 自分をどういう人だと思っている?
KAORI – 私自身?

YUKI – うん。
KAORI – どういう人だろう。今までは、それこそ会社や大学にいた頃は、あまり前に出るのが好きじゃなかった。自分の中で表現するのは好きだけど、それを皆に見てもらおうとはあまり思わなかったし、恥ずかしかったくらい。今は、カメラに写るのも好きだし、自分を使って表現するのも好きだし、この展示のように描いて他の人が見てくれて、いいねって言われると、もっともっと見てもらいたいって思うし。なんかすごく欲張りになってきた笑 色んな表現を、みんなに見てもらう為にもやりたいと思うようになった。人が変わったなって。

YUKI – どこで変わったんですか?
KAORI – フリーでやると決めた時かもしれない。

YUKI – いつ決めたの?
KAORI – 5月です。そう。だからどういう人かと言われて、定まってはいないけれど、きっとそういう人になりたいんだろうなって思った。

YUKI – モデルしながらバイトもしている時に、例えばもうバイトを辞めてモデルだけで生きて行くってすごく大きな決断だと思うけど、私自身まだそういう決断ができない。色々捨てられない。だから大きな決断をしたんだなと思って。
KAORI – でも私も同じで、色々捨てられない。あれもやりたいこれもやりたい。でもこれをやったらこっちにも響くかも、というのも沢山あると思うから。

YUKI – そうなんですね。何にプッシュされて決断されたんですか。会社は別に続けられたんですよね。
KAORI – 続けられたし、別に戻ろうと思えば戻れるんだけど、どちらも中途半端になるんじゃないかという思いがあって。仕事も仕事で100%やるけど、どこかで嫌なこと考えてたり。絶対この時間には終わらなきゃみたいな。そして次の日も仕事あるからとか。自分では精一杯に仕事の成果を出しているつもりだけど、でもどこかで、これでいいのかなと思っている自分がいて、何か違うなと思い始めて。

YUKI – 私もいつか辿りたい。ちょっとまだできない。
KAORI – でも私も出たばかりだから、どうなるか。

YUKI -では最後に、これから挑戦していきたいことは?
KAORI – 具体的にこれ、というのはないけど、自分自身を使って表現することもやってみたい。今もちろん、絵の分野で誰が見ても、あの人の絵だねって言われるようにはなりたいけれど、異なる表現方法を身につけることで、絵にも還元できることがあるなって、なんとなく思っていて。そういうのがやってみたい。何かはわかんないけど笑

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YUKI – とりあえず写真?モデル?
KAORI – モデルも楽しいかもしれない。何かコレというのはまだ見えないけど、そう思っています。笑

YUKI – ぜひ撮らせてください笑
KAORI – え、私もゆきちゃんを撮りたい笑

YUKI – 今日はありがとうございました。
KAORI – ありがとうございました。


「はじめましててん」
On view until 2nd July at Neighborhood & Coffee by Starbucks, Ikejiri 2-27-7, Setagaya, Tokyo

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