純粋に物事を記録する手段として、スナップ写真はその歴史的地位を築いてきました。
でも単なる記録にするには勿体ない!写真を謎掛けのように解読して”読む”ということも、写真の楽しみ方のひとつだと思います。
それには作者の意図があっても無くても良い。個人的にはそう考えています。
明確な意図をもって作られた写真は、スナップ写真の領域を時に外れてしまうことがあり、そのような写真が現代美術館に所蔵され、歴史的価値を帯びていくことは多々あります。それはスナップではなく、既にセットアップなのです。
呼び名はさておき、作者の意図があっても無くても良いと言いました。つまり、誰かの写真に後付けして、意味深に読むことの楽しさを、ここで僕は推奨したいのです。
そうすると、身の回りにあるあらゆる二次元のビジュアルコンテンツが、観賞価値を帯びてきます。(押し付けがましい広告写真なんて嫌いですよね、だけど)この手法を抑えておくだけで、街中の広告、雑誌、他人のインスタ、あらゆる写真がエンターテイメントとして機能します。
☆広告写真は基本的に誰にでも分かりやすく伝わるように作られているので、そういう意味では面白味に欠けます。
「60歳の母ちゃんや親戚のおじちゃんが撮った写真」の方が写真的に圧倒的に面白いです。
前置きが長くなるので本題に入りましょう。

バリ島のカフェで、友人のワヤンを撮影した写真です。
ただのおっさんが写っている写真じゃん、と思いましたよね。
よく見てください。
ここには3つの謎が隠されています。
では、答えです。
1、手前にマルボロのパッケージが置かれている。
2、背景の壁が、マルボロと対照的な色配置になっている。
3、バリ島はインドネシアに属する島である。
3ですが、インドネシアの国旗を覚えていますか。

はい、というわけで、マルボロのパッケージ、赤白というカラーが壁へ、そして国へと繋がりました。
更にテーブルにあるのは、僕が飲み終わったフレッシュのマンゴージュースなのですが、微妙に底に残っています。
そして画面右側の壁はマンゴーカラーで、同じ色をしています。
飲み終わる前に撮ればよかった、とここは後で現像した時に気づきました。
このように、写真はただそこに写っているものを見るだけでなく”読む”ことができるのです。絵画には時代によってはそのように意図して作られたものが多いです。美術の先生や、油絵オタクがあの絵はどうこう、解説したがりますよね。
写真でも同じようなことができるのです。
上の写真の状況を噛み砕き、撮り手側の方法論をまとめます
1、画面の中に、リンクするようなレイヤーを作る。
色、かたち、シルエットで構成します。それらを手前と奥に配置することで、奥行きとリンク感が増す。(マルボロと壁、マンゴージュースと壁)
2、画面以外にもレイヤーをつくる。
意味内容、歴史、時代など。(写真の中の色と、撮影された場所:インドネシア)
3、そこに視覚的、構図的品質が加われば更に写真としての面白さが高まります。
(この場合はワヤンがただケータイいじっているだけなので面白味に欠けますね)
簡潔に言うなら、ポイントは3つのレイヤーを入れるということでしょうか。
画面内に二つ、そして画面の外に一つです。
写っているものと、写っていないもの。
そうするとグッと写真が面白くなる、はずです。試して見てください。
意図しすぎて、逆に全然面白くない、という写真も結構好きです。
意図しすぎて、愛しいというやつです笑
それではまた。。
こちらの記事の写真はシグマのカメラで撮影しています。
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