こんにちは、ときまるです。
久々に小説を読みました。
トルーマン・カポーティの「冷血」です。
原題は「IN COLD BLOOD」 1965年の作品です。
ティファニーで朝食を、は読んだ記憶があるのですが、こちらは名作と知りながらも重そうだったので未読でした。
重めのものを読みたくなる時期ってありますよね。
ノンフィクションノベル
ストーリーは50年代にアメリカ中西部の農村で起きた、一家四人の殺人事件が元になっています。
実際に起きた事件を、カポーティ本人が探偵さながらの行動力で調査し、5年間かけて資料を整理した後に執筆した超大作。
報告書では語れないことを語ることに、小説の意味があるとしみじみと感じました。
ノンフィクションノベルという小説ジャンルをつくりあげた作品でもあります。
カポーティはこの「冷血」以降、目立った作品を発表することができなかったと言われているので、彼の代表作と言っても差し支えないでしょう。
人、場所、モノと、描写も綿密で、リアルなストーリーに引き込まれていきます。
登場人物が語ること
殺人の犯行に及んだ二人の人物、ディックとペリーが、逮捕の時までロードトリップさながらにアメリカを旅します。
個人的にその珍道中が、この小説の醍醐味だと思います。
性格の異なる二人の掛け合いが、独特のリズムを作り出しながら、実は殺戮の本質となっているという仕掛けです。
その二人のうちのひとり、ペリーが語った言葉を抜粋します。
「あれほど長く愛用していたギターだったのに。そいつをワックスで磨いて、自分の声のほうをそいつに合わせ、まるで大事な女の子みたいに扱ってみろよ。そうすりゃ、ギターだってなんとなく神聖なもんに見えてくるもんだよ」
この部分は男の子の趣味に対する気持ちを、とても良く表現しているなぁと思いました。
”自分の声のほうをそいつに合わせ”というところが良いですね。
カメラは更に機械的なので、カメラに合わせるしかないのですが。
それでも実際に、そのように神聖さと愛着の湧くカメラというものがこの世界には存在します。
そのようなカメラは随分少なくなっていることは確かですけどね。
小説の随所で、人物の人間味が繊細に描かれていますので、ストーリーと合わせ本編で味わってみてください。
読者プレゼント
今回トキマルタナカが読み終わった、カポーティによる「冷血」を抽選で一名様にプレゼントいたします。
あえての瀧口直太朗の旧訳版です。
こちらのコンタクトページより、名前とご住所を明記の上、「冷血プレゼント」と書いてご応募ください。
ダイレクトに郵送いたします。
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