春日部大凧マラソン

 カナダからの友人との再会を機に軽快なスタートを切った大型連休は、ピクニックやら小撮影を挟み、10キロのレースを完走して終了となった。まさか自分がレースに出るなんて思ってもいなかったし、初レースが縁もゆかりもない埼玉県春日部のシティーマラソンになるとは誰が予想しただろう。
 2月の終わり頃、春日部在住の友人ランナーに冗談のように誘われて、二つ返事でエントリーして3000円を支払った。それからは普段通りに週に1~2回、5キロを走る程度で、一週間前から焦りだし、本番3日前に10キロ走って当日を迎えた。それは調整とは呼べない代物だった。しかし当日は江戸川と雄大な春日部の大地を横に見ながら、思ったより楽しく走ることができた。春日部大凧マラソンという名の通り、川沿いでたこを揚げているおじさんがいたりして。
 結果は2807人中1003位で、タイムは57分7秒だった。それが良いのか悪いのかわからないが、ちょうど時速10キロくらいのペースということになる。人の歩く速度が時速4キロ程度だと聞くから、まあとりあえずそれは”走っている”ということにはなるのだろう。走り始めて4年弱、ようやく自分の中に基準のようなものができた気がする。
 参加賞のTシャツも手に入れた。レースで必ずもらえるというあれで、これだけは少し楽しみにしていた。しかし、なんというか、誰かを傷つけることを承知で、正直に言うと、ダサかった。大凧のデザインが元々あって、それをそのままTシャツにインスルトールしたからこうなったのか、肩の部分がそれぞれ緑と赤で、胴部分が白。もうイタリアの国旗そのもので、マラソンと言うよりはサッカーシャツにしか見えない。でも一度は着なきゃだろうということで、勇気を出して職場に着ていくと「ダサい」「デザイナーの顔を見てみたい」「やばいね」「これデザインするなら私もできるわ」「小学生?」「つかVネックじゃん」「Oh~ Marathon!」と散々だった。僕が着ているからということもあるのだろう。しかしこのダサさ、どこか憎めないところがある。”なんかダサいけれど憎めない”というのは、それはそれで”デザイン”されていると言えなくはないのかもしれない。言えないか。
 走ることによって、縁もゆかりもない場所が、ゆかりのある場所になっていく。それは僕がランを始めた当初思い描いていた夢そのものだ。ボストン、ホノルル、アテネ、ベルリン。体ひとつ、ランで各国を身軽にスライドしていけたらいい。そのように自分に関係する場所が地球上にぽつぽつと増えてゆく事は、人間の根源的な喜びの一つではないだろうか。宇宙のどこかの星を走れる未来も、そう遠くはないかと夢想する。
いやいや大きくなりすぎだ。走ったのはたかが10キロ、そこはカスカベ。遠くを見すぎず、地に足つけて行こう。

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