いつぶりかわからない勝沼

勝沼にいる。いや、正確には勝沼にいた。東京に戻ってからこの日記を書いている。余剰時間のないスケージュールでの旅のあいだは目の前のことに精一杯なのだ。どのような状況であれ、旅というのは精一杯にならざるを得ない。だから事後的にしか語れないということなのかもしれない。愛着であれなんであれ、なにかについて語るということ自体が事後的なものでしかない。しかしそうなると私たちの生活にある現在進行形の愛着というのはずっと誰かに伝えられないままなのだろうか。全ての日記を一日遅れで書いているので、現在進行形で伝えられるのはツイッターやインスタグラムのストーリーズということになるのかもしれない。しかしリアルタイムでその場の光景を投稿することに、本当に自分が愛着を持っているかどうかはわからない。まず見ること。そして衝動や衝撃があって、その後で考えること、書くこと伝えることがある。リアルタイムなSNSには情動しかない。だからこうしてわざわざ日記を書いているのではないか。勝沼は暑かった。前回のワイナリー巡りで訪れた時も今日みたいに暑かった。葡萄畑が見渡せる丘の上でバーベキューの昼食をとった。以前入った温泉にも立ち寄ってみたが休業中の張り紙が入り口に小さく貼ってあった。売店でお土産のワインを買って東京へ向かう。なるべく時間をかけて、途中休憩しながらゆっくりと車を走らせた。まるで東京に辿り着きたくない自分が速度として運転席正面のパネルに現れているみたいだった。