困難な成熟
読書ノートと言うほどでも無いのだけれど、ノートを開いたらたまたま目に止まった文章があったので、ここに記しておきます。
しかも偶然に去年のちょうど今頃に読んでいた本でした。
内田樹さんの「困難な成熟」です。
この本は、他者と一問一答の形で、内田さんが説教するように、その難解な問いに答えてゆくというものです。
内田さんの本を読んだことがある方は分かると思うのですが、哲学的な思考、学術的な切り口を併せ持ちながら、辛口で強く、それでいて非常にわかりやすく書かれています。その語りはファンの間では”内田節”と呼ばれています。内田樹さんはレヴィナスというフランスの哲学者を師としています。
内容は、社会の中で生きるということや、労働について、与えるということ、伝えるということ、そしてこの国で生きるということとなっており、どれも面白そうなトピックです。タイトルの付け方もとても良くできていて、読んでみたいと思わせます。
もやもやしている人へ
あらゆる思考の入り口としても最適なのですが、特にもやもやしている人にオススメしたい本です。僕もノートに書きなぐっていたということは、昨年の今頃、人生に対してもやもやとしていた時期だったのかもしれません。もやもやを内田樹さんが晴らしてくれます。
書きなぐっていた引用はこんな部分でした。
”だから、トラブルというのは「問題」じゃなくて「答え」なんです。今、目の前にいきなり出現した「青天の霹靂」じゃなくて、それまでかなり長い時間をかけて「仕込んできた」さまざまなファクターが作り上げた、あなた自身の「作品」なんです。”P370「困難な成熟」より
哲学的ですね。原因は自分自身にあるということでしょうか。あるいはもう既に起きてしまったことは、結果として表出しただけだから、仕方がない。と捉えることもできます。
もうひとつは
”ほう・れん・そう を言い出す上司は、部下から報告が上がってこない、相談されないダメなやつ。ルール化は必要ない” P372 「困難な成熟より」
ズバっときますね。しかし何一つ間違っていないです。会社員でなくとも想像できますね。頼れない上司には、何も言わないですからね。本当に頼れる上司であれば、部下から進んで色々話ますから。でも僕が思うのは、上司や部下という上下関係がある時点で、本当の信頼というのはその間柄に成立しないということです。これは権力の話になると思う。
なにがあったのか、以上の2つを書きなぐっていました。この他にも、最後の付録的な「今、日本人が読むべき本 七選」もリストしてありました。ただひとつも読んでいません。
過去のノートを見返すというのは、何を得られないにしても、なかなか面白いものです。
僕は今読み終わった本は、すぐに誰かに譲るか売るかして処分しているので、これはもう手元にありません。
今後はレビューと自らの覚書を兼ねて、この場に記せたらと思うので、欲しい方はご連絡ください。
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