驚くべきことに、LeicaQにはマクロモードが搭載されています。
同じサイズ感・機構のコンパクトカメラで、マクロモードが搭載されているカメラは幾つか存在します(リコーGRやx100fなど)
ただ、それがライカということが意外なのだと思います。
ライカを使用するような撮影手法においては、「寄る」ということはまずあり得ません。
まずひとつはレンジファインダーというその機構です。M型の基本レンズ群(ズミルックス、ズミクロン、エルマー等)は撮影最短距離が70cm程で、更にカメラ本体によっては距離計が1mからしか連動しないといった制約が付きまといます。そしてストリートスナップという手法ではマクロの距離まで寄ることを必要としない場合がほとんどです。
寄れないカメラ、それがライカであり、ライカ判(35mm)写真の特徴なのです。
しかし、Qはレンジファインダーの体裁をしたレンズ固定式のミラーレスカメラです。レンズ透過型のフォーカス・露出システムを採用しており、機構的にマクロモードが可能となっているのです。
このマクロが使えるという点は、伝統的なライカと決定的に異なる点であり、LeicaQを革新的なものにしている特徴のひとつだと思います。
使い方は簡単。
フォーカスリングの手前にあるリングを、マクロの位置に手動で切り替えるだけ。
わかりやすい動画があるので、掲載します。
距離計がなめらかに切り替わるギミックとなっています。
マニュアルに一発でマクロ切り替えができる点は素晴らしいと思いますが、個人的にはこのようなギミックは耐久性への懸念があり、不要だとも感じてしまいます。道具はシンプルであればある程に、壊れようがないからです。(ストリートで使うカメラは”フライパン”や”靴べら”のようにあってほしい)そういう意味ではLeicaMPのように徹底的に無駄を廃したミニマリズムな機構が好みです。
しかしこのギミック以外の面では、LeicaQも徹底的に無駄を廃したミニマルな道具としてのカメラである言えるでしょう。しかもデジタルでこういうスタイルを実現できているのは素晴らしいと思います。
標準時は開放F1.7の、撮影最短距離30センチ。
マクロモード時は絞り開放がF2.8になり、撮影最短距離は17センチとなります。
標準でも30センチと、一般的な一眼レフカメラくらい寄れてしまいます。
これくらい寄れると28ミリという割とワイドなレンズ感も、標準的な扱いで使用することができます。
マクロで撮影した写真をいくつか掲載します。


こちらは標準時の最短距離で撮影

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