LeicaQはレンズ固定式のフルサイズコンパクトミラーレスカメラです。
M型と違ってレンズ交換が出来ません。
よってレンズの描写や画角に飽きた時や、撮影状況によってレンズを交換するといったことを”捨てた”カメラです。
そうなると、予め付いているレンズの性能が最も問題になるところです。
今回はそのレンズを見ていきます。
ちなみに、Mマウントで同じ画角のレンズはこちら。
f1.4のズミルックス。
95万円という価格はウケますね。ギャルではないですが、ウケちゃいます。
ただこちらは構造的にも品質的にも、LeicaQについているものとは全く別物と考えた方が良いです。
イメージサークルはフルフレームだけれど、そのコンパクトなボディに合わせてデザインされている為、APSCサイズのコンパクトカメラを少し拡張したスケール感のレンズといったところでしょう。
しかし実際に撮ってみるとこれが実に良く写り、ポテンシャルの高さに気付かされます。
シャープネスと解像感

開放でもピントが来ているところはシャープです。
金属、布、木目、髪の毛、ガラスと複合的な素材の入った絵を選んでみましたが、それぞれの質感描写をうまく描き分けているように思えます。
こちらは100%表示

若干木素材の方にピンが来ているようにも見えますが、生地付近もなかなかシャープに解像しているのが伺えます。
それでいてボケている場所のフリンジは最小限に抑えられています。
このあたりはライカの単焦点レンズ。良好なシャープネス性能と解像感をもっています。
逆光耐性

カメラにとっては残酷など逆光という状況で撮影しました。それも絞り開放。
見事な逆光耐性だと思います。フレアも無く、トーンジャンプもせず、太陽のスポット崩壊も最小限に抑えられ、フィルム撮影のような滑らかなグラデーションを作り出しました。
rawで撮影し、無調整のjpeg書き出しですが、手前の岩肌のディティールが微妙に残っているのが分かると思います。
現像時のシャドウ調整によっては、岩肌を出してラティチュードの広い写真に仕上げることも十分できそうです。
アナログダイアルでは1/2000しかシャッタースピードを選択できませんが、オートを選択しておくと電子シャッターに切り替わり、最速1/16000で切ることができます。よって晴天の屋外でも積極的に開放を使える仕様になっています。ちなみに、電子シャッターではシャッター音が無くなり、無音となります。
豊かなコントラスト

F5.6まで絞って硬質な被写体を撮影しました。
晴天順行ということもあり、5.6でも豊かなコントラストと質感を得られます。
F11まで絞ると少々カリつく感じはしますが、開放から全ての絞りにおいて、バランスの良さを感じます。
ただやはり開放値1.7ということで、F4から、絞ってもF8くらいまでが最も解像し、美味しいところかもしれません。
控えめの歪曲

歪曲を確かめると言わんばかりの、少々意地悪な構図です。
しかしあまり気にならない程度なのが、まず驚きです。
28mmという画角は基本的に広角の部類に入るので、歪曲前提というか、歪曲活かしで意図的に使用するプロもいます。
少々樽型の歪曲が見られますが、普通に使用する分にはほとんど気にならないレベル。
建築や水平が必要な写真は、後処理で補正すればOKです。
こちらが補正後の写真

DNG(raw)ファイルには、補正プロファイルが含まれているので、Lightroom CCであればとても簡単です。

ジオメトリーのパラメータで Upright>Auto にするだけ。これ本当にボタン一発で凄いです。将来的には、世界中のクラウドから写真や編集データを蓄積中のadobeが、AIによる精度の高い補正を自動的にかけるようになるのでしょう。今のプログラムでも十分に使えるレベルの機能です。
日々進化するCCに期待です。
「後で補正なんて写真家じゃねえ、いつだって現場勝負だ」という、近代的マッチョスタイルな撮影者は三脚でしっかりときめましょう。
ライカの公認三脚として品質の高いジッツオはおすすめ。僕もマウンテニアというモデルを使用しています。
こちらはトラベラーと言ってその名の通り、旅する撮影者にはもってこいの一本。
カーボンで軽く、コンパクトでスーツケースに入るところがポイント高いです。
ライカライクなボケ味

開放での描写。
ピントが来ているところから、前後にかけてのグラデーションはMマウントのズミルックスを継承しているライカらしい描写です。

ミラーレスの為ミラーショックが無いので、夜景も手持ち1/15で切れる。

同じ場所でアウトフォーカスしてみました。
周辺でも玉が割と残り、キレイな円形ボケをつくりだしています。
以上、何だか写真雑誌のつまらないスペック比較記事みたいになってしまいましたが、なかなか使えるレンズだということがわかりました。
性能はさておき、やはり何をどのように考え切り取るか、そしてどのようにアウトプットするか、こそが撮影者にとっては最も大切なことではないでしょうか。
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