誰かに動かされている人生

仕事を終えて渋谷で飲み始めた。ビールから始まり、純米酒であさりとキノコの酒蒸しを食べているくらいの時に、隣に韓国人のビョンファンが来た。ビョンファンは英語も日本語もほとんど喋れなかったので、韓国の翻訳アプリで会話をした。友人と東京旅行するはずだったが、その友人が急に来られなくなって三日間一人で東京を彷徨っていて、明日の便で帰るのだという。ソウルで建築士の仕事をしていて、ランニングも趣味ということで同じナイキランのアプリを使用していた。日本への渡航が11月から解禁されて旅行者が増えていることや、先日の梨泰院でのハロウィンの事故について話をした。二軒目バーに行って、最後ストリートで缶ビールを開けながら、家族にお土産を買うためにドンキホーテに行きたいというので一緒について行った。そこで父に、日本酒にしては随分高額でレアな大吟醸を、姉には可愛らしい小瓶の吟醸酒を買っていた。ソウルに来たら、そこから車で2時間の場所にある最強にうまいスンドゥブを食べに連れていくと言われて、おそらく近い将来行くのだろう。自分にはそういう観光客との出会い運のようなものがあって、金閣寺で出会ったパリジャンのサミュエルとも仲良くなって実際にパリを訪れて遊んだりした。自ら動いているのではなく、誰かに動かされている人生だと思うのだ。