ロケハン無しの撮影はライブセッションのようなものだと思う。内田ユキオさんがスナップ写真を撮ることを、街の環境という伴奏の中で、人や光のメロディが流れ、そこにタイミングを合わせてアドリブを演じるようなものと例えていたがそれに近い。時間が限られてかつロケハンが事前にできない撮影というのも街でスナップを撮る感覚に似ている。その場に行って、空気や光を読んで、人に向かってシャッターを押す。1分も立たないうちに撮影は終わってしまう。午前中に友人のイラストレーターfoxco Kaori Watanabeの個展にお邪魔して撮らせてもらう。初期から作風は変わらないものの、作品はより磨きがかかり軽井沢で制作した作品を中心とした本展は彼女の柔らかさや優しさや悦びに溢れながらも、画面サイズやタッチがそこに抱えきれないエネルギーを画面の外側、そのまたインスタレーションされた空間の外部へと放出していた。表現方法は違えど、このようなクリエイターの活躍を間近に見るたび僕も頑張らないとと思ってしまう。珍しく二本立てで午後もロケでサンフランシスコ出身のアメリカ人を撮影。少し陽が高く、もう夏のような感じがした。
