写真家の友人が貸してくれて、ルイジ・ギッリの写真講義を読みました。
今更ですが、ずっと読みたかった本です。
1989年の講義を書き起こしたものですが、今でも新鮮さを感じます。
イタリアの写真家はマリオ・ジャコメッリくらいしか日本で知られていないので、初めて聞く写真家がたくさん登場します。そういう意味で本書は、ルイジ・ギッリを中心としてイタリア写真をカバーする稀有な本です。
ルイジ・ギッリは不動産会社で測量の仕事をしたり、デザイン会社で働いたりしていて、写真家デビューしたのは30歳。49歳という若さで他界するまでの19年間、写真について考え、書き語ってきました。書ける写真家というのは、写真だけを撮る作家とはまた異なった趣があります。書くことで、写真のし掛けがバレるかと思いきや、より写真の謎が深まるということが時に起こります。そして読者やファンにとってはより親密さを帯びてくる。
生徒に「レンズはまず50ミリを買いなさい。人間の視覚に近いのは35ミリだけど、35ミリレンズはその構造上高価です」なんて、日本の写真学校でよく言われるようなことも言ってたりします。フレームについて、光について、露出について、すべて写真の基礎だけどルイジ・ギッリ流の視点で1段掘り下げて解説されています。本人の作品もカラーで掲載され、解説されているのも嬉しい。
写真初心者も、ある程度撮っている人も新たな気づきを得られる本だと思いました。
危ない側面=仰々しくコード化した方法で、世界、つまり現実ー肖像、静物、彼の目に映るありとあらゆるもの、風景ーに対峙している
ルイジ・ギッリ
— 田中 常丸 (@tokimarutanaka) July 24, 2018
「写真家の仕事というのは、世界を馳け廻ることだということを覚えておいてください。多角的な仕事ですが楽しいことの方が多いですし、いずれにしても、写真を撮るというのは包括的な探求をするということなのです」
ルイジギッリ
— 田中 常丸 (@tokimarutanaka) August 5, 2018
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