こんにちは、常丸です。
最近、訳あってこの映画を見直しました。
ジョージ・クルーニー主演の「マイレージ、マイライフ」
2009年の作品です。
ジョージが演じるライアンは、雇用主に代わって従業員にリストラの宣告をする人物で、その仕事の為世界中を飛び回っています。
劇中に10,000,000マイルを達成するほどに常時(ジョージ)「移動」しているクルーニーな人物です。
10,000,000マイルはどのようなフライト感で達成できるかというと、東京-パリ区間往復がおよそ12,000マイル程ですので、833回程パリに行く計算になります。
常に飛行機に乗る生活を数年続けなければ達成出来ない数字ですね。
そんなライアンは、小さなアパートメントこそ借りてはいますが、家に帰ることが少ない為、部屋に荷物がほとんどありません。
僕の部屋に近く、不思議な親近感が湧いてきます。
ライアンは、エージェントとしての仕事に加え、「バックパックの中身は」というタイトルで講演も行っており、その中での語りがミニマリズムなので、引用してみます。
この講演は劇中で3回行われ、ライアンの心境の変化と共に、重要なキーシーンとなっています。
人生の重さは?
”バックパックを背負ってる”と想像してください。
中にあなたの人生の持ち物を全て詰めます。
まずは棚や引き出しの小物など。重さを感じて。
次に大きいもの。服や電化製品、ライトやリネン類やテレビ。
重くなってきました。
さらにカウチ、ベッド、キッチンテーブル、車も詰めて。
家もです。ワンルームでも、2LDKでも。全部それに詰めて。
さあ、歩いてみて。
大変でしょ。
人生も同じ。我々は荷物で動けなくなっている。
だが生きることは動くことだ。
バックパックが燃えたら、何を取り出す?
写真?心に刻めない記憶など、燃やしてしまえ。
全て燃やして、翌朝、身軽になった自分を想像して。
ワクワクしません?
ばかじゃねえの、と思う方もいるかもしれませんが、これは実はミニマリズムの本質をついている。
そう、生きることは動くことです。
物を減らして、動きやすくして、自分をワクワクさせて、新たなことに挑戦しよう。
実際、物を減らしていくと、本当にワクワクしてくるんです。
何も無い自分、人間の動物的な勘を取り戻しているような感覚。
しかしここまでが実践として使える範囲でしょう。
この映画の良いところは、この先を言及しているところです。
二回目の講演で、ライアンのミニマリズムは人間関係にもその範囲を拡大しているところが見られます。
知人や、友達の友達、同僚、そして秘密を分かち合える人、従兄弟、おば、おじ、兄弟姉妹、両親、最後に夫や妻、もしくは恋人。
全てバッグに詰めて。
今度は燃やしません。
重みを感じて。
人間関係は人生で最も重い要素です。
ひもが肩に食い込む。
人との交渉や、議論、秘密や、妥協。
全部背負うことはない。荷物をおろして。
一生パートナーを変えない人物もいます。白鳥がその良い例。
我々は違う。動きを止めたら死ぬ。
我々は白鳥ではない。サメです。
人間関係もミニマルに、気楽に生きよう、と言っているようです。
確かに人間関係は人生で最も重い要素です。
「全ての問題は人間関係にある」と言っているのがアドラー。
職場や家庭、あるいは自分自身のコンプレックスさえも、全て”人間関係”の問題に還元できるというのです。
ベストセラー本なので、既に読んでいる方は多いかもしれませんが、単なる自己啓発ではない良い本です。
しかし、ここはなんとも難しいところ。
実際、この後ライアンは妹の結婚式に出席する為、地元に戻りますが、家族からは家族とは見なされない扱いをうけることになります。
仕事に注力しすぎて、放置してはいけない人間関係を放置してしまった。
最後に、三度目の講演シーンがありますが、途中で放棄してしまいます。
繰り返しの虚無感に襲われ、仕事先で出会った女性を思い出し、会いに向かいますがその関係性が一時的であったことに気づかされます。自覚していたにもかかわらず。
本当に好きになった頃にはもう目の前からいなくなってしまうのです。
モノはいくらでも減らしても良いが、人間関係は減らしてもよいというわけではない。
マイレージ、マイライフで描かれているのは別にミニマリズムではないのですが、そのような観点からもみれる映画だということで、記事にしてみました。
ジョージ・クルーニーのミニマルなトラベルライフ、なかなかイケてますのでチェックしてみてください。
ご案内
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note : フォトグラファー講座
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