一昨日くらいに、SPBS(SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS)にふらっと入ったら、一冊の本と出会った。
みうらじゅんと宮藤官九郎の「どうして人はキスをしたくなるんだろう?」
あまりに面白すぎて、完読前にブログ往きとなった。
僕の好きな二人の対談。おっさん二人が放課後に話しているような雰囲気で、ひたすらエロと、仕事と、女と男と、人生の話。ちょっとデイヴフロムショーを思い出したけれど、書き起こしなので、言葉が、笑いが、こちらはキレにキレている。映像や音声ではなく、活字の醍醐味が濃縮されている。
タイトルのキスから、恋愛と結婚の違いは、お父さんはいつまで娘と風呂に入れるのか、色気とは何か、どうして人は旅に出たくなるのか。金儲けの方法よりも、人生の些細な謎を解き明かしたい。不思議と、哲学している。
合間合間に読んでは、笑っている。こういうおっさんになりたいなぁと思う。
永遠の中二だ。
サブカルのカリスマであるみうらじゅんのこの本をSPBSで見つけたことも興味深い。
SPBSはブックディレクターの幅允孝(はば よしたか)さんが監修する本屋兼なんでもスペース(物販やイベントも)
近所ということもあり、通るたびふらっと足繁く通っている。
アマゾン化された世界で、本屋の意味というのは”買おうとしてもいなかった本と出会ってしまう”ことにあると思う。哲学書の近くに、こういう軽めの文庫本が置かれていたり、写真集の隣にそれにリンクする文学作品が置かれていたりする。”あなたへのお薦め”で出て来るより、遥かに自然で心地よい。多分それがブックディレクターの成す技で、僕はまんまとそれにはまってしまったというわけです。
考えれば、この近辺、ミニシアターのアップリンクや、スナック”ぶんぶんるうむ”にジャズバー、”あばらや”に”ロック”と、妙にサブカルめいている。同時にうまいビストロや、高級フレンチ、うなぎに寿司屋、オーセンティックな居酒屋が混在する。そのサブカルさは、下北、高円寺、中野と、似ているようで、どれとも違っている。
商店街のイケてないおっさんか、某企業のマーケターに「奥渋」と命名されて、観光客も増えている。(その辺で生まれ暮らす若い子たちは、その呼び名をどちらかというと嫌っている。何奥渋って、ここも渋谷だし。と友人は少しご立腹であった)
話が逸れたが、つまりこの本を手にしたのは、そのようなサブカルの磁場のようなものが働いたのだろう。
個人的に年齢もタイミングも、良き出会いだった。
小さいけれど確かな幸せ、大きな笑い。
そういうのが人生には必要なのだと思う。