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Essay

根津美術館

 

髪を切りに行ったついでに、根津美術館に寄ってきた。ちょうど先日、松浦弥太郎さんのエントリーで触れたので、無意識に美術館へ足が向いたのだろう。スーパーに夕飯のおかずを買い出しに行く感覚で、生活圏内にプライベートミュージアムがあるということは、とても素晴らしいことなのかもしれない。

上京して間もないころ、数度訪れた記憶はあったが、渋いなと感じたくらいで、その時はその良さを理解することはできなかった。それから10年程経ち、根津美術館の渋さが少しだけ染みる年齢になってきたと思う。

開催されていた企画展は「はじめての古美術鑑賞」だった。相変わらずシブい。漆の装飾と技法が、重要文化財の陳列と共に解説されていた。他には、紀元前10世紀頃の中国の青銅器も。漆も青銅器も、中国から伝わったもので、その繊細さにはただただ感嘆するしかない。書かれている絵画の中の生活に思いを馳せながら、人間の手により生み出された細かすぎる線に、そして400年も現存して今目の前に在る木、漆、貝、銅、そのマテリアルそのものに畏怖の念のようなものを感じた。青銅器の威圧的なフォルムと、古今和歌集と茶器のコンビネーションが、深く心に残ってしまった。

隈研吾氏建築による館内も心地よく、初夏の太陽を避けるように、休む人々がちらほらみられた。

髪を切るついでに、根津美術館。癖になりそうだ。