東中野で、藤代さんの能年さん

 東中野にて、藤代冥砂さんの個展を見てきた。能年玲奈さんを撮り下ろしているもので、IoTコンセプトのアパート一棟を丸ごと使って展示されていた。その展示法も、完全予約制という形式も、ありそうでなかったように思えた。
 写真はもちろん藤代さんの人柄をそのまま閉じ込めたようなもので、飾らず、親密だけど、心地よい距離感で、旬の能年玲奈が等身大で映し出されていた。壁一面の大判プリントは迫力があり、”4時間の中でただ起こったこと”というドキュメントの手法もさることながら、なによりスタイリングも、東中野という場所性も、能年玲奈と見事に調和していた。それは能年玲奈以外の誰であってもならないような気がするほどだった。
 数年前、僕は東中野に住んでいた。だから今でもそこは重要な意味を持つ場所になっている。今回久々に降り立って、ああこれこれと思いながら、過去の記憶と照らし合わせてギンザ通りを歩いた。
 よく通った小さな焼き鳥屋はなくなっていたし、住んでいたスナックもとり壊され、別の建物が建設中になっていた。少しだけセンチメンタルになりながら、通り道や家の写真を、数枚撮った。あの日過ごした時間と顔が、曇天の東中野に浮かんで、消えた。

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