ラーメン、餃子、半チャーハン

 うちのサーバーがクラッシュした。四つの目を持つ四角い箱は、何の前兆もなくdeadと言った。
 仕事柄、会社等にあるような小さなサーバーを家で構築している。raidシステムというもので、複数のハードディスクが入った機器で、たとえその中の一つが死んでしまってもデータが失われることはないという優れもの。今回はすぐに代わりのHHDを取り寄せ、8時間ほどで復旧できた。
 写真といえど扱っているものが主に”データ”であるため、それらの保存と管理運用が毎々大変になっていく。データ量も大きくなるばかりで、他の写真家はどうしているのだろうといつも気になるところ。映像も扱うとなるとますます、維持費も馬鹿にならないだろう。
 過去のネガが、作家の死後などに発見されて世に出て行く写真家もいる。最近であればVivian Maierだ。ナニーだった彼女は、撮るばかりで発表はおろか現像さえもしていなかった。死後にシカゴのコレクターによって発見、プリントされ、最初の写真集が出たのはまだ記憶に新しい。2009年ごろだったかな。
 ネガと違って、サーバーにある写真が、遠い未来に再発見され、人の目に触れるようになることはうまく想像できない。なぜだろう。今、カセットテープやMDの再生が難しいのと同じことかもしれない。それ以上に、データは数字で、人間とは遠いところにいるからだとも思う。それは写真の物質性、メディウムに対する思考の入り口でもある。
 そんなことをやっているうちに、天気の良い休日を逃している気がした。一緒に撮影したロンドンやオーストラリアへ帰って行ったメンズモデルたちがラーメンの写真を上げていたのを思い出し、無性に食べたくなった。彼らはラーメンが好きだ。仕事中もよくラーメンの話をした。それもラーメン、餃子、ビールのセットでなければならない。半チャーハンも良いだろう。美しきメンズモデルたちにとって、日本と言えばラーメン、餃子、半チャーハンなのだ。
 ふらっと昼過ぎに出て、昔ながら系の店で醤油ラーメン、餃子、半チャーハンを食べ、ビールを飲んだ。案の定、満腹すぎてその後は仕事にならず、歩いて夢現つの午後であった。
 ハードディスクもお腹も、腹八分に医者いらずである。

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