路端に咲く紫陽花の所有者

マンションのポストに不在票が入っていて、また荷物を受け取れなかったことに落胆した。これで三度目。最初に午前中配達を指定していたのに12時を少しすぎてから配達があったようで、それ以来配達員との歯車が狂ったみたい。今日こそはと夕方の時間を指定して、仕事よりもチャイムの音に精神を研ぎ澄ませて荷物の到着を待った。適当に玄関に置いてくれれば良いものの、アマゾンと違ってゆうパックはそういうことはやらないらしい。身に覚えの無い荷物で何かと思っていたら先日の結婚式の引出物だった。雨の合間を縫って外に出ると、道端の紫陽花を詰んでいるお婆さんがいた。人目につかないように隠れるように青い紫陽花を茎の方から素手で折ろうとしていた。シャッターチャンスではあったものの、僕は見ていないフリをして通り過ぎた。おそらく罪悪のオーラを感じたのは道端の紫陽花は所有者が曖昧であるからだろう。誰が植えたかもわからずしかし誰かの土地の敷地にあって野生的に咲く紫陽花は誰の紫陽花だろうか。店から買ってきた植木を持ち帰るのは窃盗にあたる。その境界の狭間でおばあさんの心の揺らぎを感じた。

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