フォトレビュー #03「さつき」

こんにちは、常丸です。

レビュー企画、第三回です。

今回はこの作品です。

 

tomoyuki matsushita
さつき ©tomoyuki matsushita

撮影者:松下知之
作品タイトル:「さつき」
使用カメラ:Nikon FE2
写真歴:10年
ウェブサイト:https://www.tomoyukimatsushita-studio.com

[レビュー]
直球のポートレートですね。もしも写真がウイスキーだったなら、他のリキュールやソーダの混ざっていない、グラスに注いだままの常温ストレート状態といったところです。

第一回目にレビューした写真もポートレートだったのですが、この写真は「良いポートレートの条件」と言われる、環境・光・関係性全てを備えています。

環境は自然の中で、望遠気味のレンズを使い背景をぼかし、人物を浮き立たせています。背景の処理を最大まで突き詰めたものが、スタジオで撮るプレーンなバックのポートレートだとすれば、そこまで処理せずに、草むら・草原・自然という状況が確認できる程に留めている。

光は朝か夕の斜光が左頬と肩に入り、ドラマティックにハイライト効果を生んでいる。

読み難いのが関係性だけれど、妹でも恋人でも友人でも赤の他人でもあり得る。それは逆に幅広い解釈可能性を持っているということだ。関係性がダイレクトに分かる(たとえフェイクでも)写真は良いが、関係性が曖昧過ぎる写真もまた良い。

切り取り方も上手く、天は頭に少しかかり、地はデニムが微かに見える位置で行われ、画面にぐっと迫力が出ている。ここでデニムが見えるか見えないかで大きな違いが出る。ファッション写真ではウェイストアップとされる教科書的なトリミングだ。

モデルの無垢な眼差しは、僕にパオロ・ロベルシが撮った幼女期のNatalia*を思い出させる。同時に草原・女・モノクロというコードは、ピーター・リンドバーグ*を思い浮かべないわけにはいかない。(しかし、ピーターはあくまでもファッション写真としてドキュメントスタイルの写真を撮る写真家なので、ヘアメイクもしていないように見えてしっかりしているし、服も白か黒しか着せないという点で異なっている。)

ファッション写真育ちの松下くんが、出ていないようで、しっかり出てしまっている気がしてならない。

そういう意味では、ファッション写真の文脈に乗りながら、街から連れてきた被写体をストんと、ドキュメンタリーしているように見えなくもない。

そしてモデルが着ている服の波のような柄と、背景の草がシンクしてくるところあたりも、彼のキャッチーな構成力が無意識に現れているかのようだ。

[参考文献]

Paolo Roversiはイタリア生まれの写真家。ファッションや広告写真の領域を越えた巨匠的存在。


Peter Lindberghはドイツ生まれのファッション写真家。誰もが敬愛するファッション写真の先生のような存在。
今でも現役だけれど、世界に衝撃を与えた絶頂期の作品を収めたこの写真集はおすすめ。僕もミニ版を持っている。

[これまでのレビュー]
#01 痩せてる
#02 気ままに。

[レビュー作品募集]

写真は下記情報を添えて、tokimarutanaka(at)gmail.com 宛にお送りください。

1、名前、ペンネーム(匿名でも可能)
2、活動地
3、作品タイトル
4、使用カメラ
5、写真歴
6、SNS・ウェブサイト

上記の情報は必ず記載ではなく、任意です。一部でも可能。

ピックアップして、レビューします。

[注意事項]
・写真は当ブログにて公開されますので、著作権は撮影者が有するものに限ります。人物が写っている場合は、撮影・公開の許可を得ているものとする。
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それでは、皆様のご応募お待ちしております。

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3 thoughts on “フォトレビュー #03「さつき」

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