フォーカスが速い、ということ

フォーカスが速いということは、どういうことだろう。

最近のカメラはフォーカスが速い。

ソニーのコンパクトカメラなんて0.05秒という世界。

構えた瞬間に、押したら撮れる。

デジタルにおけるフォーカス速度は、速ければ速いほど良いというのがどうやら世界の共通認識のようで、各社競い合うように高速化されている。

Leica Q Typ116

このブログでも過去にあげた、Leica Qだったり。

フォーカスレビュー

fuji film のx100fだったり。

僕が好んで使う、レンズ固定のコンパクトデジタルでもその傾向は変わらず、近年ますます良くなっていて嬉しい。

しかし、フォーカスが速いことと、良い写真が撮れることは必ずしも比例しない。写真してる人なら、この点は既にお気づきだろう。

もしも比例するならば、この世界からマニュアルフォーカスのカメラとレンズはとっくに消えているだろうから。

(もちろん、スポーツやレースなど、写真の上がりにフォーカス速度が直接影響してくる分野もある)

s250 f4.0 iso200 Leica M10 50mm
s250 f4.0 iso200 Leica M10 50mm

では、昨今のフォーカス速度競争に参加しない、マニュアルフォーカスの強みとは何だろうか。

それは一言でいうなら、「フォーカスするという行為を諦めたゆえの、諦観的速写」

 

マニュアルフォーカスのカメラというと、自らの手でレンズのフォーカスリングをくるくる回して、被写体にピントを合わせなければならない=時間がかかると考えている人が大半かもしれない。

確かに間違っていないが、筋金入りのマニュアルレンジファインダーズから言わせるとそれは少し違う。

構えて合わせるのではなくて、最初から撮りたい距離にフォーカスを合わせておく。フォーカスするという行為から、積極的に”降りて”しまう。

ピントを合わせないということは、どんなオートフォーカスのカメラよりもシャッターレリーズまでの時間は最短なのである。

 

私達の人生では、様々なことが起こる。全てに対応したり悩んだりしていたら、精神を病んでしまう。時には諦めることも大事になってくる。それもとても潔く。

僕はいろんなことを諦めてきた。そしてこれからもいろんなことに挑戦しては、諦めて行くだろう。しかしそれが何かは誰も知らない。

今はただフォーカスすることを諦める。

諦観的速写、なんて聞こえはいいけれど、写真学校の先生からは怒られるかもしれない。