マーティンのサドルを削る

朝から内田ユキオさんのGRの動画を見て改めてスナップについて考える。40mmを出したことにより、もうこれだけで良いと思っていたが、使い込むうちに、GRという躯体は28mmに最適化していることを改めて発見したと言う。今は2台持ちしていて、二つがあって相乗効果のようなものを発揮するとも。街にベースラインとなる伴奏が流れていて、その場の光や人の動きでメロディが入った瞬間に、アドリブを加えるような感覚で写真を撮っている。心地よい比喩や引用を多く用いて畳み掛ける内田節もさることながら、写真を音楽に喩えるところは音楽をやっていた身としてはすごく分かる感覚で、過去にシャッタースピードと絞りとフォーカスを、音楽の三要素であるリズム・メロディ・ハーモニーに対比したことを思い出した。2台持ちをすることは内田さんにとって、二種類の楽器を使い分ける感覚だというのも印象に残った。音楽といえば、今日はギターのサドルを削るという大冒険をしてみた。この手の調整は微妙なもので本来リペアマンに委ねるものである。しかしユーチューブで検索してみると、自分で削っている人が結構いて、これは手っ取り早くいけるかもしれないと思いサンドペーパーをアマゾンで注文しておいた。使っているマーティンのアコギはジュニアシリーズということもあり弦高が随分高く設定されていて、多分4ミリくらいはありきついなーと思いながらも、音楽に復帰するための修行として昨年から1年間かなりキツイテンションのまま弾いてきた。おかげで握力と指先の皮は現役時代のそれに戻りつつあるが、どうしてもハイポジションのセーハーでセブンスやメジャーコードを引くときに鳴らない音がある。一度はトラスロッドで逆ゾリを目指して弦高の低下を試みたが、それでも高い。そして思い切って、サドルを削る最終作戦に出たのである。元々手先は器用は方だと自負していてそんな自意識過剰のまま一発勝負で削りにかかった。削りの数値目標は2.5mm、なかなか深いので最初は80番のサンドでしっかり削っていく。垂直と水平を意識して、目標ラインまで到達したら240番で仕上げ。思いのほかうまく行った。ブリッジに戻してチューニングして、明らかに弦高が下がったことを確かめる。この時点で2.8mmだったが、2mmを目指したい欲に駆られて、再度削りにかかった。ブリッジぎりぎりにもうこれが限界というところまで削り、2.5mmほど。あとは、使っていくうちに弦の触れる部分が削れてもう少し低くなると思う。成功したことが嬉しい。金曜日は忙しく過ぎていった。僕にしては珍しく夜は丸の内でやや硬めの会食。スーツ姿のサラリーマンに混じってずっと他人の家に迷い込んだ猫のようだった。季節の鍋の食事を終えて、肩が凝ったので宇多川のいつものバー。ハイボールを飲んで職業不定のイカしたおっさんたちと話をして、帰りに近所のバーでギネス。どこの店も満席で、パンデミックは一通り終わったのだと思った。

– https://linktr.ee/tokimarutanaka