深更渋谷オン・ザ・ロード

P(ペリー)と渋谷の外れの路上に寝っ転がって曇った空を見上げた時、懐かしい気持ちが襲ってきた。夜中の2時か3時にはなっていて、風は緩くも冷たくもなく、季節も夏ではないような気がした。古い建物が解体されて出来た空き地の横にある小さく斜度のある場所で、そこは僕らが寝転がって夜空を見上げるために用意された専用の場所のように思えた。満点の星空があるわけでもなく、背中にはただ硬いアスファルトの感触があった。汚い渋谷の路上に、小学生でも寝転がることはないだろう。間違いなく親から怒られる。ただ真夜中と朝のあいだの無限にも感じられる静かな時間に、路上で仰向けになった時、数年前に八ヶ岳の草原で夜空を眺めたことや、国分寺あるいは宮崎の路上で泥酔して寝てみた時のことや、バリのビーチや、代々木公園のホームレスのことや、昨年の山梨の山中でのキャンプや、様々なことを思い出した。路上で寝るという行為は久々で、それは案外人間にとっては自然なことなのではないかと思った。このまま朝まで寝られそうだけどそろそろ行くか、とどちらかが言って、先ほど食べたカップヌードルとハイボールをコンビニのゴミ箱へ捨てて、解散した。

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