これから結婚しようとする全ての友人に読んでもらいたい、しかし結婚している友人にはなるべく読んでほしくない、そんな本。
(しかし多様な家族のありかたを分析・考察しているので誰にでも読んでほしい本、というのが本音です)
離婚する際に出ていくお金は、慰謝料・財産分与であるが、もっとも大きなものが婚姻費用であり、これについては今まで触れられる機会が少なかった。
著者である藤沢さんは、弁護士が書けなかったことを、自らの友人の経験を元に次々と明らかにしていく。
結婚という金融商品の仕組み、婚姻という古い制度は現代にはもう合わなくなっていること、別居から離婚までの詳しい流れ、コンピ(婚姻費用)地獄の計算方法、著名人の結婚と離婚のケーススタディー、浮気や婚外子の状況、動物や人類学的にみる婚姻制度について。
現法律では結婚は「金を持つものが、持たざるものへ富を均等に分配する」ものであるが、”コンピ”があることにより、夫婦に稼ぎの格差があればあるほど、持たざるものが得をし、持つものは破綻のリスクを抱える仕組みになっている。
これを読むと本当に結婚できなくなるほどに恐ろしい。
だが一方で、男女格差指数が世界的にみても大きい(最低な)日本というこの国において自由と平等、またはそれらを取り巻く差別を再考するきっかけとなる。
多様な価値観を受け入れられる豊かな社会になる為に、個人の結婚に対する固定観念を緩やかに溶かしていくのは、ひとつの有効な解かもしれない。
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