イカとカメラの身体的使用

数日前にアマゾンから届いた段ボールが玄関に放置されたままだったので、遅めに起きて開封した。中身はクリンスイカートリッジフロアフロス、そしてイカ。イカである。正式名称は食塩無添加あたりめ・するめ足。自分でもなぜ注文したのか覚えていない。多分おすすめに出てきたのだろう。味付けのりが入っているような大きなジャー型のプラ容器に入っていて、結構容量がある。当分はイカに困らないだろう。試しに朝食に食べてみたが、コーヒーと全然合わない。イカとコーヒーのこのバッティング感は何だろう。アルカリ性というか、双方ともクリアすぎる。まるで同じバンドにテレキャスターを持ったギタリストが二人いるみたいだ。

クリンスイカートリッジはキッチンの蛇口につけている浄水器の交換用。ペットボトル派から浄水器に転向して久しいが、水の味はともかくゴミが出ないのと荷物の受け取り回数を減らせるという点で素晴らしい。カートリッジの交換は3ヶ月に1回が目安とされていて、3パック入りを買っている。フロアフロスはイタリアのメーカーが作るデンタルフロス。J&Jのものを長く使っていたけど、買収されたか製造元が変わったかで品質がガタ落ちした。なのでフロアフロスに乗り換えた。太くて、ワックス無添加な感じで調子がいい。太くて無添加という点ではイカと類似しているので、間違ってイカでフロスしてしまわないように気をつけないと。とにかく今回の段ボールはイカの存在感が圧倒的だった。

日記を書いたりデータ整理をしているうちに暗くなってきたので、雨が降っていたが写真を撮りに出た。左手で傘、右手にカメラということになり、マニュアルフォーカスがやりにくいのでピントは目測で合わせることになる。暗いこともあって絞りも開け気味になるので、当然フォーカスはゆるくなる。

スティーブンショアがインタビューの中で「新しいレンズを手に入れたら、それについて考える必要がなくなるまで、そのレンズだけを使い続けます。多くの写真家がモノクロで世界を見ると話すように、私も特定のフィルムや現像液を念頭に置いて世界を見ることがあります。それは歩いたり息をしたりするような感覚に近く、第二の身体となるのです」と話していて、スティーブンもそういうこと言うんだと思った。日本人の写真家が言いそうな台詞だ。思うに、カメラを体の延長として身体化する人と、身体から切り離して道具的使用をする人とで分かれる気がする。両者の撮る写真の傾向も、前者はスナップに重きを置いている人で、後者はテーマによってカメラを変えコンセプチュアルなアプローチをとる人、というように異なるものとなる。自分は写真の専門教育を受けていないないということもあり長い間前者の、スティーブンと同じような感覚を持っている。仕事の場合はどちらかというと道具的使用で撮ることが多いので、両者の間を行ったり来たりしながら結局スナップに戻るということを繰り返しているのかもしれない。

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