そこにスタジアムがあった。
山のなだらかな稜線とゆるやかにつながる緑色のケミカルな広大なコート。
芝生のようでもあるしリノリウムの床のようでもある。
そのコートで多くの人々がフットボールをしているように見えた。
私はそのコート上を飛行しながら写真を撮っていた。
落ちそうで落ちない凧のように風に乗り
飛べそうで飛べない鳥のように宙を舞った
山を含む全ての大地がドーム状のスタジアムの中にあると気づいたのは息も切れた頃だった。
その時私は紛れもなく、アンノウンな飛翔体としてのTだったのだ。
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