Tag: 持ち物
公園が僕らに遊び方を問う
カメラを持たずに7つの持ち物で旅してみる(ショート編)
福岡にいる。
前回のエントリーで書いたように、ラーメンを食べにきた。目的は到着してすぐに達成された。空港から近い「いっぷくラーメン」にチェックイン。至高のとんこつ。なぜか替玉の方がキレ味がよく、とても美味しかった。
今回の旅の持ち物はこちら。

あえてカメラを持たないスタイルで来てみた。おそらくこれまでの宿泊を伴う旅で、最軽量。
写真に写っているもの+こちらを撮影したiPhoneXSで全て。
数えるほどでもないが、一応リストしてみる。(右から)
・ライトニングケーブル
・Air Pods Pro
・UV入りリップクリーム
・ロート目薬
・薬とサプリとフロス
・現金少々とクレジットカード
・iPhoneXS
合計7つ。着替えはもちろんなし。
たぶん、究極的にはこれだけで人は生きれる。
薬は怪しいものではなくて、花粉症のアレグラとビタミンCと最近試しているNMN。ニコチンアミドモノヌクレオチドというもので、体内で生成される抗老化作用物質。30代以降はこの物質の生成が減少することにより老化が進む。食物からもとることができるがブロッコリー200個分みたいな数が必要になる。発見されてから年数と実験が伴っていないので、効果は不明。怪しいといえば怪しいか。数年前は高価だったが、最近はメーカーも増えて割と安価に手に入るようになってきた。
僕はサプリストではないので、サプリの効果を期待しないし過信はしない。同じものを決めて飲み続けることもない。昨年はビタミンDを飲んでいたので、今年はビタミンCとNMNでも飲んでみるか、という感じ。調子が良ければ続ける。
ひとつだけ10代の頃に地元の皮膚科医に進められて、アトピー性皮膚炎を完治させたサプリがあって、青汁みたいに普遍的なものだけれど、信頼しているものがある。何事も自分の身体で試さないとわからない。
登山(ウルトラライト)の技術を流用するかたちで、薬のアルミ部分を極限まではさみで削ったり、フロスはケースごとではなくて必要な分だけ出して丸めて持参してみた。こうすることでわずかながらも軽量化され、全てポケットに収めることができる。職質された時の出しづらさというか、見た目はなんだか怪しくなるんだけど。
ラーメン目的で行ったのだけど、幸運にもルーフトップの大浴場と、太宰府の美味しいスイーツにも出会えたので良かったです。何も決めずに、行き当たりばったりの誤配を楽しむ。修学旅行のように計画性とイベントぎっしりの旅も好きだけど、ノープランのラフな旅も好きみたいです。
旅の持ち物ネタは過去に何度も書いてるんだけど↓
ミニマリストの旅の持ち物まとめ
今見返してみると、多いな。。
もうリュックも背負えない身体になってしまいそうな自分が怖いです。
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一本のよなよなエールを最後に、歩き続けて考えたこと
土曜日か日曜日だった。いつものようにランを終えて、よなよなエールを飲んだ。よなよなエールはビールであるため、ランニング後に飲むのに適した飲料ではない。それでもその日はよなよなエールを飲まずにはいられなかった。何かに絶望していたわけでもなく、喜んでいたわけでもなく、悲しんでいたわけでもなかった。ラン特有の高揚感が、よなよなエールの酵母かホップか炭酸とシンクしたのだ。まるでよなよなエールの方から飲まれに来ているようだった。
さすがに走った直後に飲むのは抵抗があったので、玄関のドアの下で夕暮れまで放置しておいた。管理人が通りかかったら、ゴミだと思い回収されていただろう。幸いにも、よなよなエールはまるで現代美術作品のようにドアの下で見事に佇んでいた。買った頃と缶の温度はそんなに変わらないように思えた。西の空が赤く染まり、カラスがカァと鳴いた頃、薄暗い部屋の中で静かによなよなエールのプルタブを押した。天使がハンドガンに弾丸を装填するような音が聞こえた。
その一本のよなよなエールを飲んで以来、僕は素面だった。
10年前の話しではない。3日前の話しだ。このように書くとまるで長編小説の回想パートでも始まりそうな雰囲気だが、いつものようにすぐに終わるのでご安心を。3日間の素面というのは、幸いにも僕がアル中でないことを証明した。いや証明できるのだろうか?
よなよなエールを飲んで以来、不思議と何も欲さなかった。少なく食べて、水を飲み、歩いた。普段より多く歩いた。渋谷、新宿、品川、中目黒。場所はどこでもよかった。ハンドガンを構えた”よなよなエンジェル”に追われるように、1万歩、2万歩、3万歩と日に日に距離は伸びていった。体調も気分も過去最高かと思うほどに良い気がした。水を意識的に多めに飲むようにした。歩いていて水を連想するものがある度に、少し前に読んだソローの言葉が浮かんできた。「お茶やコーヒーではなく、水こそ賢者の飲み物だ」そんなことを書いていた。そして水を口にしながら、水こそ賢者の飲み物だ、水こそ賢者の飲み物だ、とつぶやくように思った。思いすぎてたまに口から出ていたかもしれない。だが僕に対して「大丈夫よ、あなたは賢者でも何でもないんだから」と突っ込んでくれる人は誰ひとりとしていなかった。だがそんなことも、もうどうでもよかった。警官に職質されなかったことを嬉しく思った。
素面でひたすら歩き続けて(彷徨うという方が正しいかもしれない)ふと浮かんできた言葉がある。
人が生きる為に必要なのは、服と、食料と水と、まずまずの寝床だけである。
誰かが、例えばガンジーとかジョンレノンとかが、言ったのかもしれないし、何かの本に書いていた言葉かもしれない。なぜこのような言葉が浮かんできたのか自分でもわからない。浮かんでくるというより、降りてくるという感じだった。それは先に書いた一連の流れが生んだものではないかと考えるようになった。ランも、よなよなエールも、歩くことも、水を飲むことにも全て意味があり、加えて今の気分や過去の記憶が混ざって出てきたものなのだ。
誰もが一度限りの人生を楽しむために、多くのものを手に入れようと欲望し、思考し、奮闘している。そして幸いにも条件の良い場所に生まれた人間は ー日本列島もそのひとつだろうー 学校で学び、車を買い、家を買い、職を持ち、婚姻関係を結んだり、動物と暮らしたり、人間関係を築いたりする。
今タイプしているマックブックに、カメラに、ピアノに、時計にデスクに椅子、テントに炊飯器に、バイクにプロテイン。洗濯機に冷蔵庫に、素焼きのミックスナッツ。THREEのアイライナーに、アクネストゥディオスのマフラー。エアポッズプロに、外付けSSDドライブ、物干し竿と、イカの一夜干し。金、名声、声明、土地、株式、ビットコインにリップル、髪の毛、エクステ、クイックルワイパー。
無駄なものが人生を楽しくする。無駄を作り楽しむために経済活動があり、資本主義経済は成り立っている。
効率化を求めすぎると、死に近づいていく。それは人間というものがそもそも非効率な生き物だからだ。しかし言いたいのはそういうことではない。生死に関わる話しはここではあまりにデリケートすぎる。
ただ、一本のよなよなエールから導き出された小さな冒険を記すこと。
服と、食料と水と、まずまずの寝床さえあれば、それ以外は特に必要なく、余った体力や時間を、好きな人や好きなものに全力でつぎ込むことができるのではないだろうか。それを愛と呼べるかはわからないが、愛のようなものに変えていけるかもしれない。喜びを全身で表現して、日々を全力で生きていけたらと思う。職質されない程度に。
それってあまりにも芸術的で、岡本太郎にすぎるかな。
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スーツケース1つ分の衣類

ナチュラリストが海の見える家で暮らすことを熱望するように、ミニマリストはスーツケース1つ分の荷物で暮らすことを熱望している。
ミニマリストと名乗る多くの者達は、実際に1度は自分の持ち物をスーツケースにまとめてみた経験があるのではないだろうか。
しかしスーツケースを実際に部屋に置いて、自分の持ち物を入れてみようと思った次の瞬間には、それが不可能であることを悟る。衣類、調理器具、PCやカメラ、衛生用品、チェスやオセロ、その他の細々としたもの。スーツケース本来の役割である衣類というジャンルに限っても、そこに収まらないことに絶望したことだろう。
モノではなく容器から持ち物を精査する、というのは整理術においてよく使われるテクニックだ。すなわち先にバッグや、タンスや、収納するスペースを決めて、そこに収まる分だけを持つという考え方である。入り切れないものは捨ててしまう。
この方法は、都民ファーストならぬ容器ファーストと呼ばれる。呼んでるのは俺だけだが。容器が、つまりバッグやタンスやスーツケースが好きで好きでたまらない人向けだ。好きな容器があってその容器を使うことを最優先させる人にとっては有効かもしれない。(例えばLOUIS VUITTONのトランクやHERMESのバーキンとか)
極端に言うとそのような人は荷物は入れずにただその容器だけを持てば良い。中身は何も入れず、そのバッグを使いたいがために持ち運ぶ。中身は何も入っていない謎の壺を部屋に置いているのも同じような種類かもしれない。完全に変態ではあるが、容器ファースト主義者の美しい姿だ。
実際ミニマリストにはこのような極端な容器ファースト主義者は少なく、中身のモノを主体に考える荷物ファーストがほとんどだ。
ではスーツケースに持ち物を収めるにはどうしたらよいだろうか。
近道のようなものは残念ながら無いのではないかと考えている。
災害などで全てのものをなくしたり、または何らかのきっかけで収入が途絶えてホームレスになったりした人は、すぐにスーツケースひとつ分の荷物で暮らすことができるだろう。しかしそれは望んでモノを無くしたわけではないから、いずれもっと増やしていきたいと思うようになる。
もちろんここでは、自ら進んで持ち物を減らしたい人の場合だ。そのような人たちも、一日で一切合切すべての物を捨てたとしたら、スーツケース1つで暮らせるようにはなる。モノは限りなくゼロになるけれど、おそらく心が追いつかない。今まで多くのもので暮らしていたので、少ないもので暮らすことに心と体が耐えられないのだ。気づけば、あれが必要これが必要、また2 3日でスーツケースから溢れ出すだろう。
一日で物を減らすことは難しく、生活する中で買って、また減らしてを繰り返すうちに、少しずつ生活スタイルそのものを変化させながらバランスをとっていくしかないのだ。モノと心身と生き方のバランスを。
その過程は流行的で商業的で軽くてポップな「ミニマリスト」というよりどちらかと言えば「修行」に近い。
僕も日々そのような修行に明け暮れて(なんのためになるのか全く持って不明だが)、5年ほど経つ。
家具を除けば、全ての持ち物はスーツケースとバックパックひとつに収まるくらいにはなっている。
家では実際にスーツケースを衣類入れにしていて、服に関しては全てがこの35Lのリモワに収まる状態だ。

衣装ケースや、ハンガーラックの類いは一歳所有していない。容器ファーストの罠に陥る人は容器があるから入れてしまうのであって、最初からなければその中に入れるモノを持たなくてすむのだ。しかし先に述べたように、一度にではなく、生活の中で徐々に総数を減らしていかなければならない。マラソンで少しずつ距離を伸ばしていく感じだ。日々少しづつ繰り返すと、気づけば長い距離を走れるようになっている。
撮影機材を軽量化したので実際の旅や移動でこのスーツケースを使う事はほとんどなくなった。両手が空くこと、移動のしやすさを含めて、旅はバックパック一択だ。(または手ぶら)
引っ越しや長めの滞在の際は、衣装ケースや段ボールを運ぶ代わりに、このスーツケースをひとつ運ぶだけである。そして通常は衣装ケースとして使用する。この楽さを覚えてしまうと、もう服をたくさん持つことや、収納ケースを持つことはできない。
スーツケースの中身についてもここで紹介したいところですが、紙面が残り少なくなってきたので他で書きたいと思います。近々ミニマリズムに関するまとまった文章を書く予定ですので、同じように修行している人はお楽しみに。
関連記事:
リモワとドンケ
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うどんをめぐる冒険 – 高松と直島の旅



がもう
香川県坂出市加茂町にあるうどんや「がもう」に僕たちがレンタカーで到着した頃、雨が降っていた。
12時ごろだっただろうか。傘をさした人々の行列が見える。
「うどんも並ぶんだ」
仲間のうちの一人がつぶやいた。僕も同じことを思った。
テーブルも少なく、つまみもなし、酒もなし。流石はうどん、回転が早い。
どんどん列の前の方に進んでいく。
入り口近くになり、メニューの書いてある看板が見えた。
小 150円
大 250円
特大 350円
安いとは聞いていたものの想像以上に安い。トッピングは天ぷら、あげ、卵、温泉卵のみ。
実にシンプルだ。
店内に入ると、茹で場がすぐ左手にあり「小」と一声。
茹でたてのうどんが器に入り出てくる。
その隣にはトッピングする場所があり、「あげ」を頼んで会計を済ませる。
列になったまま、出汁窯の前までたどり着く。学食かバイキングのようだ。
おたま一杯分の出汁をかけると、列に乗ったまま流れるように外へ。
店内にはテーブルがひとつだけあり、家族らしき団体が6名ほど座っていた。
外には道の駅にありそうなプラスチックのベンチが、バリエーション豊かに置かれている。
ビーチパラソルが備え付けられてるおかげで、雨に濡れずに食べることができた。

コシがあり程よい塩気の麺、少し甘めのあげと、しっかり素材の味がする芳醇な出汁。
うまい。
これが香川のうどんかとしみじみ思った。

蕎麦は関東が主流だが、うどんは全国にある。
僕が生まれ育った九州・長崎ではアゴ出汁のクリアなうどんだったし、学生時代に4年住んだ宮崎は甘い出汁にコシの無いゆるゆるの麺だった。(福岡のうどんにも近いものがある)
当時は何気なく食べていたが、今思えば地域の特性がうどんのスタイルににじみ出ているようで、どれも美味しかった。
香川は日照時間の長い瀬戸内気候に属し、古くから良質の小麦と塩醤油、イリコが取れるためうどんがブランド化したと言われている。江戸以前からも宿の1階に併設される形で栄えたようだが、現在のうどんの姿とは随分違っていたようだ。
ブームが始まったのは1980年ごろからで、メディアでの拡散と同時に、瀬戸内大橋と明石海峡大橋の開通がそれに火をつけたとされている。

今回の旅は、香川出身の友人のガイドの元進められた。
ネットの情報は一切参照しないことにした。リサーチはおろか、レビューさえ読まなかった。
ただ香川出身の彼に
「香川で1番うまいうどんを食わせてくれ」
とだけ言った。
すると彼は
「香川で1番うまい言うことは、日本で1番うまいいうこっちゃ。日本で1番ということは?もうわかるさかいな、世界で1番うまいいうこっちゃーー」
と答えた。
僕らはそれに対して何も言わず、ただ食べて、感じることにした。
二軒目は「山越うどん」でかまたまを。
三件目は「源内」でかけを。
四件目は直島へ渡り「石井商店」で肉うどんを。(これは厳密には香川のうどんではないとのこと)

どれも最高に美味だったが、香川県内でこれほどバリエーションがあることに驚いた。
同じうどんでも食べ方を変えると全く飽きなかった。
というより、うどんのカスタマイズ性の高さを改めて感じたのである。
そして店ごとに、得意な出し方が存在するようだ。
上に挙げたお店は、麺が売り切れ次第終了ということなので、高松に到着したらレンタカーで直行が最も効率的で確実にうどんにありつける方法だろう。



GOTOトラベルについて
今回、東京から新幹線という移動手段をとったため、交通に関してGOTOの恩恵を受けることはできなかった。多少は早割で安くはなっていたが。
ホテルと地域クーポンについてはできるだけ利用してみた。
まずホテルは予約段階で、通常の〇〇%の割引適応というかたちになる。
しかしこれはなんとも言えないところで、ホテルの価格は基本時価であり、ホテル側が決めるのでGOTOの値引率と価格設定によってはそんなに普段と大差ないという場合もある。今回はリーズナブルに泊まれたと思う。

そして地域クーポン。
これがなかなか複雑だ。
チェックイン時にホテルに予約バウチャーを提示して、QRを読み込ませて発行してもらう。
発行してもらったクーポンは「地域割引対象店舗」で使うことができるというもの。
まずこの地域クーポンには「紙版とデジタル版」が存在する。
紙版クーポンは旅行会社を通す等特定の条件をクリアした場合に付与される。
デジタル版クーポンはネット予約した場合に付与される。今回二泊の旅で別宿だったが、ふたつとも「デジタル版」での発行だった。
さらに使えるお店にも「紙版が使える店」と「紙版・デジタル版両方使える店」が存在する。(どうやらデジタル版のみ使える店はないようだ。今回見つけられなかったので)
そしてどういうわけか、デジタル版の使える飲食店が圧倒的に少ないのだ。
6000円〜12000円ほどのクーポンが発行されたので、夕食の足しにすることはできたが、クーポンルールとお店探しに少し苦戦した。
それもいきあたりばったりの旅らしく楽しくもあったが、もう少し仕組みをシンプルにしてほしいと思う。老若男女が簡単に使えるように。



旅の荷物
写真撮り忘れですが、今回の旅の荷物リストしておきます。
・イヤフォン
・ミニ三脚
・充電器類(iPhone, Camera)
・衣類(レインジャケット、Tシャツ1枚、下着1枚)
・衛生用品(歯ブラシ、日焼け止め、オイル)
・エマージェンシーセット(山用)
・現金、クレジットカード、免許証
服は現地で洗濯スタイル。旅の道具で服が最もかさばります。
旅写真の続きはノート版に掲載していますのでぜひ御覧ください!
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冒険はつづく。
人生に必要なものをほぼ全てグレゴリーのリュックに詰めて行く

伊東にいる。
Go To キャンペーンということで、東京から富士を眺めながら御殿場をぐるりと周り、沼津へ。そこから熱海に立ち寄り、伊東まで降りてきた。
ベタにうなぎや海鮮丼を食べて、温泉に入りながら。
伊豆半島は何度も訪れているものの、街々でそれぞれ趣きが異なる点がおもしろい。沼津、三島、伊豆、下田、熱海、伊東。どれも似ていて、どこか似ていない。ちょっと温暖で、リタイア寸前のお金持ってるシニアたちが温泉のために療養する場所。そんな偏見が少なからずあった。だいたい間違っていないのだが、実際に訪れて歩いてみると、経済成長期に造られたモノたちがとてもフォトジェニックなのだ。時間的退廃と、過去に確かにそこにあったものたち。
コロナ期のため人も少ない。毎日入ってる全ての温泉が貸し切り状態で、とにかく街に人がいない。いつも沢山の人で溢れている街だけに、どこか寂しさと不気味さが漂っている。それが港町ということも相まって。
最初は九州を旅する予定だった。10日間ほどの休暇と、フライトをとった。しかし、しばらくして10日間も九州をめぐることが億劫になってきた。なぜだろう。いつもであれば家よりも、空港のラウンジに滞在することや、長時間電車に揺られること、旅館や実家の畳を好むのに。あるいはここ2、3ヶ月の自粛生活で、外に出ることをめんどくさがるようになったのかもしれない。
とにかく僕は気づけばフライトをキャンセルしていた。飛行機代の4万円は1万2000円となってクレジット残高に返ってきた。巷で政府がゴートゥーキャンペーンと言い出したが、それは全く関係ない。僕は昔からテレビもラジオも無いし、政府の政策や政治とは全く無関係なロジックで動いている。そう思いながらも国に所属しているからには、何かしらの不利益や利益を被っているんだけれど。
九州を諦めて、思い立った先が伊豆半島だった。随分近場だし、自分の想像力と発想力の狭さにげんなりする。他にもっと行くところあっただろう。だけど今回は、伊豆半島だったのかもしれない。いや、たぶん場所はどこでもよかった。ただこの渋谷を出ることさえできれば。
グレゴリーのリュック
具体的な行き先も滞在期間も決めないまま、いつもより多めの荷物をグレゴリーのリュックに詰めた。バックでもザックでもなく、リュックに。響きがいい。小学生の気分にさせる。
いろんなバックパックを使ってきた。ミレーやパタゴニアやエパーソンマウンテニアリング、ノース、吉田カバン。
今はグレゴリー。耐久性もポケットも申し分ない。インナーのPCスリーブは底と差を持って縫われているので、地面にどんと置いてもPCに衝撃がいかないようになっている。時期により改良されているようで、微妙にデザインやポケットの仕様が変わる。
僕の旅の道具は80%が石川直樹さんの装備がベースになっている。写真家であり冒険家で極地に行く彼の道具をとりあえずパクっておけば、そんなに極地に行かない写真家で冒険家の僕には十分だと考えたのだ。このグレゴリーも石川さんの装備のひとつ。
現在持っているバッグはこれひとつなので、街でも山でも旅でも使っている。何も問題はない。黒くて地味で、誰もが持っている無難なベストセラーに少し愛着が湧いている。沢山詰めても背負心地が良いのがなにより。
中身は人生に必要なもの全て
多くの人は、もう既に人生に必要なものを全て手にしている。
ただそれに気づいていないだけだ。
今、名言っぽく言ってみたけれど、もう既に誰かが100回くらい言ってそうなセリフだ。

今回の持ち物。インナーバッグに包まれているので写真だと何がなんだかわからない。
左がラップトップで、右の荷物群をそれぞれ解説してみます。
まず左上の黒いのは、無印の吊るせるポーチ。このブログでも何度か登場している。東京の自宅にも吊るしておいて、そのままパックして旅先のホテルでも吊るして使えるスグレモノ。中身は、歯ブラシ、ペースト、オイル、フロス、日焼け止め。爪切りとハサミと毛抜と耳かき。衛生用品を全てまとめてます。
その隣、グレーのポーチは、PCの電源ケーブルとiPhoneケーブルの予備、ディスプレイ変換コネクタ、名刺、マスク、ボールペン、マジック。が入っています。仕事で使う系ですね。
その右隣が、折りたたみ傘と、カメラ。
上段右端にあるのは、ノースフェースのレインパーカー。旅先では夏でもクーラー効きすぎてる場所や、突然の雨にさっと羽織れて重宝します。しかもたたむとこんなにコンパクトになるのでかさばらない。もちろん登山でも着用していて、秋冬はこの中にインナーを着込んでハードシェルとして使用します。
続いて、下段左の赤いやつはXERO SHOESのベアフットサンダル。これが最強。最近買ったアイテムで最も使っているものです。素足で歩く感覚をもとに作られていて、ソールがないペラペラのサンダル。人は靴を履く文化で生きているので、裸足で歩くことに慣れていない。使わない筋肉を使うので最初はとても疲れるんだけど、徐々に筋肉と関節が柔らかくなり、人間の本来持っている動物的身体性を取り戻せるというもの。素足が健康に良いことは知られているけれど、ベアフットの強者はこのサンダルでランニングしたり登山したりしています。さすがに僕はそこまでやれないけど、裸足はきもちいい。ビーチに出たり、温泉後の散歩だったり、汚い部屋に遭遇したりと、どんな旅行にもサンダルは必須アイテム。CHAIのライブ限定ビニールに入れてます。
その隣は本(Haruki Murakami)とノート。今読書は全てキンドルなのですが、小説はペーパーバックを一冊だけ持つようにしています。バッテリー切れた時やディスプレイに疲れた時でも紙だと楽です。緊急時はトイレットペーパーとしても使います。(海外バックパッカーじゃないんだから)なぜか春樹を英語で読むのがブーム。アナログノートの活用術についてはこちらの記事で書いています。
その隣のネイビーは、吉田カバンのインナーポーチ。これおそらく学生時代から唯一使っているもので10数年選手。確かな縫製で全くやぶれもほつれもしないんですよね。これにはカメラの充電関係と、ストロボ、バッテリー、LEDライトが入っています。
そして下段の一番右がパタゴニアのTシャツ。今着ているものを含めて、今回服は2枚です。昔は綿100を好んで来ていましたが、最近は化学繊維が好きになっています。登山とランニングをやるので化学繊維に移行したのですが、一度着るとその快適さから綿に戻れないくらいです。汗もすぐ乾くし、臭わない。旅先でもちゃちゃっと洗って干しておけばOK。パタゴニアのシンプルなTは耐久性もあり、UVカットも入っているのであらゆるアクティビティに対応できる。ランニングでも登山でも重宝しています。
服持たなすぎ問題
ここで既にお気づきの方もいらっしゃるでしょう。
服、なさすぎじゃね?
というかパンツ(下着)とか靴下は。
そうなんです。あまり大きな声では言えないのですが、今回ノーパンで旅しています。不快に思われる方いましたら申し訳ございません。伊豆半島をノーパンで徘徊しているのは、私でございます。
弁解するかたちで補足するなら、水着ひとつで移動しているわけです。
あ、東京では履いていますよ。
というわけで、今回持っている衣類は以下の通りです。
夏旅スタイルということで勘弁してください。
・Tシャツ 2枚
・ショーツ 1枚
・ソックス 1組
・レインジャケット
でもよく考えたら、これで2,3日生きているということは、これから先も同じ気候であれば、これだけの衣類で生きれるということです。
水着履いてるくせに、レインジャケットで雨防ごうとしているじゃねーか、濡れろよ。という声聞こえてきますね。
用途と場面でーということで。場面でー。
これから御殿場方面に戻り富士界隈の山を登ろうとも考えたのですが、どうやらしばらく天気が優れないみたいなので、そろそろ東京に戻ることを考えています。
珍道中の写真はインスタ&twitterで発信中ですのでぜひ御覧ください。
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キッチン事情 2020

今年のはじめに、全ての持ち物をまとめました。ミニマリストあるあるなネタ的な記事でしたが、個人的なの備忘録としても役に立っています。半年くらいのスパンで見直すと、ああこれ不要だよなとか、あっあの時こんなの使ってたんだと一瞬で思い出すことができるからです。
その記事では、キッチンで使っている道具を記載していませんでした。最後の方の文章を読むと、どうやら山道具との融合を目論んでおり、悩んでいた様子が伺えます。記事を書いてから数ヶ月後、僕はキッチンまわりにおいて、見事にアウトドアとシティライフでの融合を実現しました。渋谷の低層ペントハウスの最上階で、「山小屋」にいるかのような暮らしをしています。
というわけで今回は現在のキッチン事情を紹介したいと思います。
まず、食器類と調理道具ですがトップに写っているものがほぼ全てです。皿もボウルも菜箸もレードルもターナーも処分しました。
写っているもの以外にキッチンにある道具は
・ケトル
・炊飯器
・グラス1つ
・マグカップ1つ
・ストレーナー(お茶用)
・コーヒー器具(ミル、サーバー、ドリッパー)
となります。
トップ写真の道具で、調理と食事を全て行っています。
左の陶器の器は、ご飯を食べたり、シリアルボールになったり。けっこう昔に、吉祥寺の食器店で買ったもの。
右側は山用のMSRステンレスクッカーで、これひとつでスープや炒めものを作り、食べる時はそのまま器となります。山でも使っています。家庭用よりも金属が薄いので、すぐに火が通ります。焦げ付かないように最初は少しコツがいりますが、なれると最速で飯をこしらえることができます。味噌汁から、スープカレー、野菜炒めにガパオライス、目玉焼きと何でも作れます。(味噌汁の例:昆布をちぎって湯を沸かして、具材をいれて味噌をスプーン1杯溶かす。10分かかりません)
今まではデバイヤーの鉄製フライパンと、片手鍋を使っていました。どちらも良い道具でしたが、一人暮らしのソロアルパインシティスタイルにおいては、調理器具はひとつで大丈夫という結論になりました。
カトラリーは2種です。無印の箸と、以前も紹介したスノーピークのスクー。箸は菜箸として調理にも使用します。
このスタイルになってから、調理も洗い物も一瞬で終わるようになりました。ちゃんと飯食っている?と心配されることもありますが、人と食事する時は基本外食ですし、調理器具がシンプルになることで迷いが消え、朝晩もきちんとご飯を食べるようになりむしろより健康的になっています。
山に登っていなければ、このスタイルになることはなかったと思います。自分で全ての荷物を担いでの山行では、調理道具はひとつしか持てません。だけどそれで十分に生きれるのです。

日曜の朝、全ての窓を開け放ちサクッと朝食をこしらえる。オリーブオイルを敷いてニラともやしを入れて塩コショウ。卵を割って蓋をして、火を消して。テーブルを整えて蓋を開ける。
すると、どうだ。
風が吹いて眼鏡が曇り、ここは一瞬にして白馬の山小屋。
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ミニマリストの旅の持ち物まとめ
これまでに何度かこのブログで、旅の持ち物に関する記事を書いてきました。集合させると、何かしら傾向というか癖みたいなものが見えてくるかもしれないと思い立ち、今回まとめてみようと思います。順不同です。
ミニマルなフォトグラファーのバックパックの中身

フォトグラファーの旅の持ち物 手ぶらで香港編

台湾で

出発 – 香港

旅の持ち物 – 蕎麦をめぐる冒険「松本編」

旅の持ち物 – 弾丸宮崎編

旅の持ち物 – 福岡編

気づき
- カメラを持っている
- 本を持っている
- ペンとノートを持っている
- バックパックスタイル or 手ぶら
- 着替えを諦めることで軽量化を図っている
- 服の素材は化繊、テクニカル系を選ぶ
- ラップトップを持つことは稀である
という感じでしょうか。ここ1、2年で随分スタイルが固まってきたような気がします。カメラ、本、ペン、ノートは毎回必ず持っていってるようです。(もちろんiPhoneも)
最近山に入っているので、服に関しては登山ウェアを旅でも活用するようになりました。
今後、戦略的家出 / 戦略的夜逃げを遂行するために、家での生活用品(もちもの全て)をスーツケース一つとバックパックひとつにまとめれないかと考えています。つまり、スーツケースひとつ分の荷物で生きるということです。
撮影機材関連
これまでのミニマリズムの実践
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旅の持ち物 – 福岡編
おなじみ?ミニマリストの旅の持ち物シリーズ。
モツ鍋を食べるために一泊二日で博多へ行ってきました。
東京から1.5時間。渋谷から高尾山に行くような感覚です。いやそれよりも手軽かもしれません。
海外でも手ぶらで行くくらいですから、福岡ももちろん手ぶらでいけます。しかし最近は移動しながら仕事するというのがマイブームなため、リュックにラップトップ持参スタイルです。空港での物書きや写真作業がこれがまた捗るんです。

以下、今回の持ち物リストです。今回、持ち物の写真を撮るタイミングが無くすみません。
- バックパック
- カメラ
- Macbook pro
- iPhoneXS
- ウォレット
- イヤホン
- 耳栓
- 吊るせるポーチ(マスク、目薬、洗顔セット)
- 本
- ノート
- ペン
- 充電器類
何度か持ち物系の記事を書いていますので、読者の方であれば既に見慣れたラインナップかもしれません。
今回、服の着替えはナシです。不潔で申し訳ございません笑
山小屋泊の登山をイメージしてみました(山小屋でも下着くらい持っていくわよって方、大変申し訳ございません)
具体的には、下着を山用のウェア(ウール系のショーツやソックス)にしています。登山ウェアというのは良くできていて、ウールや化繊系素材は抗菌・消臭作用があるとともに、発汗しても湿気を逃し蒸れにくく、快適さが維持されるように作られています。
結果、一泊二日全く問題ありませんでした。
旅の仲間には嫌がられそうですが、どこまで同じ服で行けるのか試してみたいところです。
以下内容を簡単にリストしておきますので、何かの参考になれば幸いです。
1. バックパック
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新ロゴのグレゴリー。唯一持っているバックパック。PCスリーブがあるので使いやすい。旅も山も街でも快適。
2.カメラ
唯一使っているライカ。小さくて良く写る。
参考記事
たったひとつのカメラ
Leica M10-D のすべて
3.Macbook pro
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ノマドたちの基本。屋外の土砂降りの雨の中でも使えるよう、防塵防滴になってくれないかと願っている。仕事上最近はウィンドウズOSのラップトップも気になっている。
4.iPhoneXS
少し大きいと思っていたサイズも、今では気にならなくなった。動画は全てiPhoneで撮影している。
5.ウォレット
キャッシュレス時代でそろそろ財布も消えそうだけど、現金な場面はまだまだ消えず。ミニマルなものを使用している。詳しくはこちらの章で。ミニマリストの財布の現在
6.イヤホン
売り上げランキング: 964
ワイヤレスのエアーポッズ、ではないフツーのやつ。コードが絡まってそれをほどく姿はこれから見られない希少な光景になるのだろうか。コードをなかなか解けない人って、なんか哀愁あって良いと思うのは僕だけだろうか。それにしてもエアーポッズのノイズキャンセリング効果は素晴らしいようで、カフェで仕事するようなノマドグラファーには必須かもしれない。
7.耳栓
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随分前に寝付きが悪い全ての人へという記事で書いたのですが、未だに使っています。飛行機の中でも快眠できますし、うるさいカフェでも良いかも。耳栓特有の違和感がなく、痛くなりません。エアーポッズは持っていないけれど、イヤープラグを愛用しているノマドグラファーです。
8.吊るせるポーチ(マスク、目薬、洗顔セット)
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無印のを長らく使っています。家のバスルームで普段から使用して、旅に出る時はそのままジップしてパッキング、旅先のホテルでそのまま吊るして使用というなんとも便利なアイテム。中には歯磨きセット、マスク、目薬、リップクリームなんかを詰めています。
9.本
河出書房新社
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大きな単行本フォーマットで持っていきました。サピエンス全史の著者ハラリによる新刊。サピエンス全史が人類の歴史にフォーカスしたものだとするなら、こちらは現代の人類が抱えている問題にフォーカスしている。ハラリハラリしながら読んでいます。
10.ノート
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書ければ何でも良いんだけれど、移動中はモレスキンの無地の小さいやつを持っていきます。モレスキンって意外にページ数多いので、一見割高な気がしますが僕の場合あまり使わないので2年くらい持ちお得感がある。普段ノートはデジタルで行うので、行き詰まった時や、集中して読書ノートを取る時など、あえて紙とペンというすらすら書けない状態に持っていくことで(有限化して)思考環境に変化を与えています。
11.ペン
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プレゼントで頂いたパーカーのボールペン。フランス製品らしく控えめでミニマルで美しく、とても気に入っている。以前はラミーもよく愛用していたけれど、現在ペンはこれ一本。
番外編:ウェア
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下着・ソックス類はスマートウールを使っています。山ではもちろんですが、街でも最高です。値段は少しはりますが、素材感、耐久性、機能性を考えるとミニマリストにはもってこいのアイテムです。トラベラーのみならず、ネイチャー系のフォトグラファーにも愛用者の多いブランドです。
博多でベタにとんこつラーメン食べて東京帰ります。帰りたくないけど#ラーメン #博多 pic.twitter.com/9v21DxyY9G
— 田中 常丸 (@tokimarutanaka) February 16, 2020
それではまた。