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Essay Photography

ホンマタカシの換骨奪胎

 

ホンマタカシさんの新作を読みました。

今回のも、おもしろかったです。
「たのしい写真」シリーズの続編的な一冊で、ホンマさんの作品制作の過程やアプローチを垣間見ることができます。他にもタイ人映画監督のアピチャッポン・ウィーラセタクンとのインタビュー等(これ個人的にはすごく嬉しかった)も盛り込まれておりバラエティに飛んでいる。

写真の歴史をわかりやすく簡単に紐解いた「たのしい写真」

そして「たのしい写真」で語られた歴史上の作家の作品を、ワークショップ形式で実践する「たのしい写真3」

そして今回の「ホンマタカシの換骨奪胎」と、勝手に「ホンマタカシ三部作」と呼ばせて頂きます。
(ちなみに「たのしい写真2」は市川実日子さんの写真集的作品となって、少し異なる形式となっております)

今回の新作には「やってみてわかった!最新映像リテラシー入門」という副題がついており、写真から→映像という領域へ、さらに守備範囲を拡大しています。それは現代の写真が→映像的領域で扱われているという現れでもあります。わかりやすい!

引用も、デュシャンや赤瀬川原平、ガブリエル・オロスコなどの現代美術作家や、リヒター、高橋由一、マレーにマグリットと、絵画からのものが多くを占めています。

ブックデザインは長嶋りかこさんで、前作より薄く仕上がっていますが、3段で組まれているので詰め込まれたボリューム感があります。個人的には少し文字小さくて読みづらいですね。

そう言えば先日、僕がリスペクトする90年代の写真家の話しを聞きに行った時、会話の中で「最近は写真が現代美術寄りになってきて、面白くなくなったよね」というようなフレーズがありました。

その時僕はすぐにホンマタカシさんを思い浮かべました。ホンマさんは同じく90年代の写真家ですが、ニューカラーという日本では少数派のアプローチを作家としても、商業写真家としても貫いてきた方だと思います。しかし、個人所蔵の展覧会なんかに行くと、スーパーモダンなホンマさんの過去作品なんかもあったりして、本当に色々なことをやっている写真家だと驚かされることがあります。学校の先生やりながら、作品のアウトプットペースもすごい。教育と研究の両立は難しいと、よく大学教員等から聞きますが、今度ホンマさんに会えたらその辺りの考えを聞いてみたいです。

作家として様々なアプローチを実践してきたからこそ、戦略的にも肌感的にも、この時代にアートマーケットに乗せるには「ニューカラー寄り」でなけらばならない、ということがわかっているのだろうと思います。

写真作家を目指している方はもちろん、絵画や現代美術ファンにも楽しめる一冊です。

それにしても、こういう本を読むと、ますます日本の広告業界つまらないなーと思ってしまいますね。
まあ逆にそれだけ今後変わる余地が残されているということでもありますが。
いや、商業とアートは相容れないという永遠のテーゼでしょうか。

週末の読書にぜひ。

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