貨幣経済と言語の結びつき

パスポートの隙間から5ドルが出てきた。こいつが今30%値上がりしていると思うと少し嬉しい気持ちになるが紙幣という物質を目の前にして、この東京での使えなさに国家間の断絶と貨幣経済の限界を感じる。グローバル化した世界は幻想なのではないかとさえ思う。他国、多くの観光地では普通にドルが使える。それは世界中で米ドルが最も力を持っているからだが、同時に経済は言語に強く結びついているのではないだろうか。行き慣れたインドネシアのバリ島では、店によってはルピアも日本円も米ドルも使えた。そして彼ら彼女らは、インドネシア語と日本語と英語を話す(バリ語も)。日本は未だ移民を歓迎せず日本語しか扱わないので、日本円にしか信用を置いていないし扱えない。近くの横柄な蕎麦屋でこの5ドルを出してやろうかとさえ思う。

イーロンマスクが「日本は近い将来消滅するだろう」と発言してニュースになっていた。2010年代にはジムロジャーズが「もし私が今10代の日本人ならば、自分自身にAK・47(自動小銃)を購入するか、もしくはこの国を去ることを選ぶだろう。なぜなら、今10歳の日本人である彼、彼女たちは、これからの人生で大惨事に見舞われるだろうからだ」と言っている。まあジムさんはウィットに警鐘を鳴らし続けていてもう芸人みたいな扱いをされているが。そういえばまた一人友人がドイツへ行くとの知らせ。今ドイツに友人知人が4人いて、センスのある人たちはさっさと日本を離脱しているかのようだ。そこであえて、この終わりかけの国にとどまることが逆張りになり得るのか。このことについて僕はもう少し深く考えてみる必要がある。

5月にしては冷たい雨が降った。気温は13度ほどで、ウールのカットソーの上にスウェットを着てジャケットを羽織った。先週の北海道のスタイルがまたここで戻ってきた。ネスカフェゴールドブレンドが切れたので、いつもの豆屋でコーヒー豆を購める。ネスカフェフェーズが終わることを心から喜んでいる一方、ネスカフェにはもう愛着が湧いている。お前はどっちが飲みたいんだとコーヒーの神様が呆れている。

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