灼熱の中を渋谷から新宿方面に歩いている時に、web3というのは各国に点在するみんなで見ている壮大な夢なのではないかと思った。95年にインターネットが出てきた時はクラスメートにメールを送れる事実に歓喜して、掲示板に興奮して、間も無くAmazonが始まった。イギリスからOpethの日本未発売盤が直接長崎の実家に届いた時、僕は中学を卒業したばかりの頃でついに新しい時代に来てしまったと思った。web3にはそのようなフィジカルな体験が未だ無い。もちろん面白そうなプロダクトは毎日のようにリリースされている。だが、90年代にあったあの確かな手触りみたいなものが正直無いのだ。自分が思春期だったことも関係しているのかもしれない。中年になった今、そのような感覚を10代の人たちが代わりに担っていて、単に自分のセンサーが劣化しているだけだとしたらヤダな。web3って何、美味いの?という会話になると僕はとりあえず伊藤穰一さんの「テクノロジーが予測する未来」と佐藤航陽さんの「世界2.0」をおすすめしている。この二冊は比較的最近の本だし体系的によく纏まっていて著者も信頼できる。技術関連の情報は書籍だとどうしても遅くなってしまうので、あとはweb2からの情報やコミュニティで学んだ方がいいと思っている。バズワードに乗っかって特に怪しい本がたくさん出回っている分野でもあるので。エアコンのフィルターを掃除をしたら、部屋の中の空気が綺麗になった気がした。これまだ20世紀じゃんというくらいにフィルターは汚れていた。
