スケーターでありフォトグラファーのTINO RAZOによる写真展が、現在BOOK MARKにて開催中だ。

アメリカンドリームの成れ果てに、スケートボーダーが見出した副産物。
写っているのはLA・カリフォルニア、高級住宅街の退廃したプール。
ティノ・ラゾは元はNYに住んでいて、スケートやグラフィティ仲間とつるんでいた。アンダーグラウンドカルチャーをユースの時代に沢山浴びて、西海岸に渡ると、そこにはNYのスケートシーンには無い”プール”があった。
あれっ、このストーリーは、ライアン・マッギンレーやサンディ・キム、あるいはスケーターのジェイソンディルなんかとリンクしてくる。
その通り、ティノは彼らとも親交がある。
光・色・空気。西海岸をそのまま閉じ込めたような展示だった。

しかしプールというのはとても象徴的だ。
特に写真にすると、概念的な形式を帯びてくる。
本来は泳ぐためのものでありながら、彼らにとってはスケートを行う場所である。
景色の中にある、ぽっかりと開いた人工的なその穴は、強い違和感を見る者に与える。
自然の風景とのミスマッチであり、この世界のどこでも無いような、宇宙的なシンパシー。
そして何より、”ユース”という空虚な時間の現れであるかのように感じる。
そういう切なさの中に、優しい光と人とが共存し、共鳴している。

展示よりも先行して作られたこの写真集がまた良い。
なんというか、大きなプリントよりも、本のサイズで沢山の写真を見るほうがこの世界観に合っている気がする。
スナップだけでなく、こういうタイポロジーみたいなのも一緒にやっているのがティノの面白いところかもしれない。
ホンマタカシのプールの写真を思い出した。
そんなに部数刷っていないようなので、コレクターはお早めに。
会場は表参道BOOK MARK、会期は1/28まで。
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