あらゆるタイムリミットへ

タスク満載の日だった。全てを消化するのは不可能に思えたが、この日記を書くことが最後のタスクなので終わりは近い。それでも明日にはこの文章を全て消して、また一からやり直しているかもしれない。ずっと部屋にこもって作業して、昼食を食べる間も無く調整や連絡が相次いで、僕はここに存在しているようで、どこにもいなかった。日が暮れて纏わりつく湿気の中を走り出すと、ようやく生きている心地がした。この感覚、どこかで身に覚えがあると走りながら考えていたら、暗室に篭っていたアシスタント時代だった。日中はひたすら酢酸の中でプリントを焼いて、暗室を出る頃にはもう夜になっていて、太陽を浴びることなく過ぎたあの夏。日中は暗室に篭って、夜は走る。そういうリズムができていた。僕はあの時をまたここにきてやり直している。何も前へ進んでいない気がして苛立ったが、同時に運命の不思議な巡り合わせのようなものを感じた。シャワーを浴びた後でどうしても炒飯が食べたくなり中華屋に向かったが、まだ閉店時間の40分前だというのに閉まっていた。落胆して代替店を探すも、炒飯と餃子で瓶ビールを飲ませてくれる街中華がひとつもない小洒落腐ったこの渋谷の街に落胆し、仕方なく夜定食みたいなことをやっている店へ入った。キリンハートランドと焼肉のスタミナ炒め。本当はあの店の蟹炒飯と餃子を食べたかった。帰り、近所のバーでマスターに状況を話して、家に帰って宇多田ヒカルのDistanceというアルバムのリマスター版を「Time Limit」まで聴いて寝た。

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