吉祥寺アップリンクとバウスシアター

 

むか~しむかし、というほど昔では無いけれど、吉祥寺にバウスシアターという映画館があった。

それはそれはレトロな映画館で、北口のアーケードの終わりかけに、公園で遊んでゲッティー食べて明日の朝食のパンを買ってふらっと立ち寄れる場所にあり、住民のみならず西東京地域の人々に愛された映画館だった。

そのバウスシアターが閉店する前、僕はしばらく近くに暮らしていたことがあり、足繁く通った記憶がある。

一見ミニシアターなのだが、特にミニシアター系を押しで上映しているというわけでも無く、ほどよくメジャーなものも扱っていた記憶がある。(近くには吉祥寺プラザというレトロ映画館も存在する)

このバウスシアターを、渋谷のアップリンクというこれまたミニシアターの日本代表のような映画館が買い取って営業するという噂があったものだから、僕はそうなると良いなと心のどこかで密かに応援していた。

しかしそれは実現しなかった。

代わりにパルコにアップリンク吉祥寺が誕生とのニュース。

ビジュアルは、最近絶賛活躍中のモトーラ世理奈さんを、ハービー・山口さんが撮り下ろした。

ハービーさんはどちらかと言えば、下北沢の写真家である。

吉祥寺であれば吉祥寺の写真家をアサインすれば良かったのに、と思ったが、吉祥寺の写真家を僕は思いつかない。

モトーラ世理奈さんは最近様々なビジュアルに、エディトリアルに引っ張りだこだが、これはサブカルの聖地中央線の吉祥寺にはナイスキャスティングだと思う。

モトーラさんが様々な媒体に出ている不思議を感じてる人もいるだろう。

これを大きく噛み砕くとするなら、サブカルチャーがメインストリームになったことの現れだと思う。雑誌がぎりぎりクールメディアであった2010年ごろまでは、サブカル系のモデルがメインストリームやその他フィールドに出演することはほとんど無かった。逆も然り。

それが現在は、SNSやwebにおいて個人趣味的にアンダーグラウンドに行われてきた活動は、その固有性を保持しながらネットワークでメジャーフィールドへブースト可能な時代となった。テレビで知られて、ユーチューバーになるのではなく、ユーチューバーになってテレビに取り上げられるのだ。

サブカル/メインカルチャーの垣根の消失。その象徴としての”モトーラ世理奈”なのである。

思えば、街もここ数年で大きく変化している。

吉祥寺に住んだことのある人、あるいは住んでいる人、そして出身の方は感じていると思うが、吉祥寺はいわゆる昔ながらのサブカル、ジャズ喫茶、バンド、ハモニカ横丁の”吉祥寺”では既に無い。おそらくそのトドメは、駅の高架工事が完成したあたりからだと僕は思っているのだけれど、休日に出向くと、店構えも人々の様相も混雑具合も、ほとんど渋谷と変わりない。リトル渋谷だ。

アップリンクの本拠地リアル渋谷から、リトル渋谷という吉祥寺への展開。(リアル渋谷という表現もヒップホップっぽくてどうかと思うが)

これはどこまでもナチュラルな流れなのだと思う。

アップリンク吉祥寺による新しい吉祥寺時代の幕開けに期待したい。

☆当時のバウスシアターの写真を探したが、見つけることができず。撮っておけば良かったと少し後悔している。(トップ写真は井の頭公園)

代わりに

当時、著者の住んでいた吉祥寺の監獄のような半地下の部屋

↑デジタルハリネズミでも良く吉祥寺で写真を撮った

↑サブカルの参照に宇野さんの「ゼロ年代の想像力」懐かしい一冊。



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