ジャルジャルが教えてくれること

言いたいことや言葉がきれいに整理されて、喋りがどこまでもスムースで上手い人よりも、言葉に躓き、話し方の癖や独特な言い回しが出ちゃってる人のほうが好感を持ちやすい。そのような人ほど結構重要な情報を持っていたりする。

ニュースキャスターは情報を正確に伝えるという使命のうえで崩れない。テニスコートの中でゲームをプレイするテニス選手のように、常に番組というゲームの中でプレイしなければならず、アナウンサーとしての語彙や言い回ししか使えない。そこには言葉が言葉を生むような、拡張する思考がない。アドリブと言い換えてもいい。だから基本的に響きにくいし内容に親近感を持ちづらい感じがする。

リモートのMTGにもそういうところはあって、ズームやミートというゲームのルールに常に支配されている。人に会って話すということは、自己との対話でもあり、フリーライティング的であり、言葉が言葉を生むような拡張する思考を伴うものである。それらを同時に行っている。リモートでふざけることは難しい。ふざけれない、冗談を言えないという状況は結構辛いものだし、文化的に貧しいことだと思う。そのようにしてどんどん世界は貧しくなっていく。

その中でジャルジャルという芸人がやっていることは、ズームやオンラインの形式をお笑い的発想でラディカルに崩すことで、ネタの多くはアイロニカルな笑いに満ちている。寝たままリモートMTGを行うネタは、単純にばかだなぁでは済まされない。私たちにズームは寝たままでも使える、ミーティングは寝たままでもできるという示唆を与えてくれるものだ。

実際にズームでのMTGを寝ながら行うのは難しい。寝たままズームを使おうという発想に至らないのは、PCのカメラが画面上部に付いているからであり、PCは椅子に座ってテーブルで使用するように設計されているからである。寝た状態で行うには、デバイスをスマホにして、ベッドか布団の上に三脚かアーム等で固定する必要がある。天井からの照明の当たり方を考える必要もあるかもしれない。普通の会社員、というより使用者はそこまでして寝たままMTGしようとは考えない。寝て楽になるように思えて、むしろ楽にはならないから。

誰が決めたでもない、見えないルールに私たちはいつも支配されている。それは環境によって作られる。環境とはソフトウェアであり、サービスであり、組織であり、建物である。広く言えばこの地球も宇宙という環境の中にある。そのような環境に支配されて、時に人間的な自由や奪われなくてもよい自由を奪われていることがある。環境は発想で突破しうることをジャルジャルは教えてくれる。この一回きりの人生では、狂ったほうが楽しい。今、チャーリー・ミンガスのWednesday Night Prayer Meetingが流れてきた。どうせやるならこういうミーティングがいい。実際オンラインのミーティングにチャーリー・ミンガスが入ってきたら、どう声をかけたらよいか戸惑うのだろうけれど。

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