石垣にいる。昨夜の切り上げが遅すぎて一日の開始が随分遅くなってしまった。バックアップ作業やメールの返信などをいくつかこなして、東京で撮影していた映像のラフな繋ぎ込みをファイナルカット上で行う。写真とは違ってシークエンスにより成立する映像は、その手法と繰り返し方によってはグーグルやiPhoneでの当時の思い出自動生成機能に限りなく近くなるのではないか。人間の手でアナログでやっている(ように思えること見えること)が、実はAI的な行為であるというのはなんとも皮肉だ。しかしそれは写真が撮るものではなく「撮らないもの」という方向性を取りうるようになったことと同じなのかもしれない。夜は今回の旅でほぼ毎日お世話になっているテビチおでんの店で泡盛を飲んで大将に別れの挨拶をして、オーセンティックバーに見せかけてミュージシャンであるマスターが生演奏するバーPepe Uenoへ行ってギターを聴いた。カウンターに数名お客さんがいて、リクエストをもらい恥ずかしながら自分も一曲歌わさせてもらった。京都から来てなぜこの島を選んだのかという質問に対してマスターは、石垣では音楽ができると誰とでも仲良くなれる、ものすごいレベルのプレーヤーが沢山いて実は音楽の島だからという答え。波照間の星と同様に、この日の音は強烈なものとして記憶に残るだろう。


